白内障とは、加齢によって目の中でカメラのレンズのような役割を担う水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。60代で約半数、80代に至ってはほぼ全員が、程度の差こそあれ白内障にかかります。高齢化に伴い、今や「目の国民病」と言っても過言ではないこの病気について、眼科専門医が症状と治療法を平易に解説します。※本記事は『図解 白内障かなと思ったら読む本』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。

近年登場した「焦点深度拡張型」とは?

多焦点眼内レンズの新しいタイプとして、最近使われるようになってきたものに「焦点深度拡張型」と呼ばれるレンズがあります。耳慣れない言葉ですが、簡単に言うと、焦点の合う距離にある程度の長さを持たせた設計になっているレンズです。以前からある多焦点眼内レンズは、例えば近くが50㎝、遠くが2m以上といったように、焦点の合う距離は基本的にピンポイントです。それより多少近距離、遠距離も眼鏡なしで見えますが、最も合う距離は決められています。

 

それに対し焦点深度拡張型は、ピントの合う範囲が広く、遠くから50㎝くらいまでといったように、見えやすい距離に幅を持たせています。一昨年、このタイプの一部のレンズが国内承認となり、レンズの選択肢が広がりました。

 

焦点深度拡張型は、今まである多焦点眼内レンズよりもピントの合い方は緩やかになりますが、コントラスト感度の低下はほとんどありません。

 

焦点深度が広い、ピントの合う範囲が広いことから自然な見え方に近いですが、現時点では、近方の距離が約50㎝と少し遠いため、他の多焦点眼内レンズと比べると近くの見え方が少し劣るという印象です。ただ、レンズの開発は日進月歩ですので、今後より高性能のものが登場する可能性は十分にあります。

 

[図表1]焦点深度拡張型

よく聞く「ハロー」「グレア」とはなにか?

ハロー、グレア(両方合わせてハログレということもあり、ここでもそのように記すことにします)とも夜間にまぶしい光を見たときに起こる現象で、ハローは光の輪がかかったように見えること、グレアは光が線香花火のように放射状に伸びてぎらつくことを指します。多焦点眼内レンズの場合、焦点を合わせるために、レンズ表面に複雑な溝が掘ってあります。眼に入ってきた光がその溝にあたるとき、一部が散乱するため、このようなことが起こりやすくなります。

 

これらは近くが見えやすいレンズほど強く感じられる傾向があるため、当院では夜に車の運転をする人には、近くの焦点距離が少し遠めの、ハログレが出にくいレンズを選んでいます。おもに最近では、ハログレが出るものの運転には支障がない程度のものという多焦点眼内レンズがあり、見え方も良いので私はそれをお勧めすることが多いです。

 

夜に車の運転をしない人であれば、どのレンズを選んでも、ハログレの心配はまず不要です。感じ方には個人差があり、また、最初のうちは多少気になったものの、生活しているうちに慣れた、という人も大勢います。

 

実際にどれぐらいのハログレが出るかは術前に予想できないのですが、もともとの瞳孔が大きいほど出やすいことがわかっています。

 

[図表2]ハローの見え方

 

[図表3]グレアの見え方

 

 

 

『図解 白内障かなと思ったら読む本』より
 

川原 周平

医療法人 iMEDICAL 川原眼科 理事長

眼科専門医

 

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