身体だけでなく、能力にも「成長期」があります。0~6歳の間に、運動や感覚、言語などの能力が最もよく伸びる「敏感期」が訪れます。わが子が大成長を遂げるチャンスを逃すことのないように、モンテッソーリ教育を通して「子育ての予習」をしましょう。※本連載は、NPO法人横浜子育て勉強会理事長 ・藤崎達宏氏の著書『3~6歳までの実践版 モンテッソーリ教育で自信とやる気を伸ばす!』(三笠書房)より一部を抜粋、再編集したものです。

自宅で再現…モンテッソーリ教師の「観察ノート」

自分の人生の主人公になるか? 親の指示待ち人間になるか? この大きな差は、自分のことを自分で決められるかどうかにかかっています。

 

朝からのわが子の活動を観察し、一つずつ分析することから始めましょう。専用の観察ノートを準備して記入していくことをおすすめします。

 

ノートの書き方は自由ですが、真ん中に縦線を引いて、左には観察を箇条書きに、右には環境の改善点や、親としての気づきを書き込みます。この部分が、あなたが親としてバージョンアップした部分ということになります。ちなみに、モンテッソーリ教師はこうした観察のトレーニングを徹底的に積んでいます。

 

①朝、自分で目覚めて、床から起きる

②顔を洗う

③食事をする

④歯を磨く

⑤排泄をする

⑥着衣を着替える

⑦カバンを肩にかける

⑧上靴を履く

 

それぞれの活動をバラバラに分析して、わが子がどこまで自分でできているか? どの部分でつまずいているのか? 環境を変えればできるようになるのか? やり方を教えればできるようになるのか?を考えます。

 

たとえば、顔を洗う活動でも、洗面台の前には踏み台があって、自分で登れるか? 蛇口は自分で開けることができるか? 締めることができるか? 顔を拭くタオルは手の届く場所にあるか?などの環境も見直していきます。

 

どのご家庭も朝はあわただしく、そんな悠長なこと言っていられません!という声も聞こえてきそうですが、だからこそ「少しずつ、自分でできるようにしていく必要」があるのです。

 

1週間に1項目だけでもOKです。「今週は自分で靴を履く練習をさせてあげよう!」と、決めたら、毎晩、落ち着いた時間に練習します。あわただしい朝に教えても、口での指示が増えるだけです。

 

親も子どもも落ち着ける時間に、ゲームのように楽しみながら、何回も練習をしましょう。ロールプレイゲームのように親子で楽しみながら練習することがポイントです。

 

1週間に1項目でも、1年間で50項目も自分でできることが増えていくのです。急ぐ必要はありません。小学校に上がるころには、ほとんど身のまわりの準備が、一人でできるようになっているのです。

 

全部、親が代わりにやってしまえば時間は早くすむかもしれません。しかし、それでは、自分の人生の主人公にはなれないのです。

 

最初は時間はかかるかもしれませんが、一人でできるようになる度に、自分自身が主人公になれる準備がどんどん積み重なっていくイメージを持ってください。ここが、頑張りどころです。

わが子の「自律」を促す習慣

●鏡を見る習慣(3歳から)…3歳過ぎたらマイ姿見をセット

 

自分を客観的に見られるようになる行動の代表が「鏡を見る」ことです。子どもが全身を見られる高さに、専用の姿見をセットしましょう。大人向けの高さで、子どもは首から上だけが映っている配置が多いので注意。

 

鼻水が垂れている時に、何も言わずに親が拭きとってしまっては、何の気づきも生みません。「ちょっと、鏡を見に行ってみようか?」と誘い、自分の鼻水が垂れていることを、自分で見て発見させてあげましょう。

 

●服の着脱(3歳から)

 

オシャレも大切ですが、この時期の服装は「一人で脱ぎ着ができるか?」を基準に選びましょう。ホック・ファスナー・ボタンなど、苦手な活動はないか観察します。

 

たとえばボタンが苦手なことがわかったら、服を着たままでは練習しません。大きなボタンの服を机の上に置いて練習します。これがモンテッソーリ教育の「困難性の孤立化」です。

 

5歳を過ぎたら、前の晩に、明日、園に着ていく服を選んだり、持ち物の準備をする習慣ができるのが理想です。最初は「どちらにする?」と二者択一で選択して、並べておくだけでも、翌朝の段取りがとても良くなります。二者択一で、何でも自分で選択していくことが、自分の人生の主人公になる第一歩になるのです。

 

●線上歩行(3歳から)…モンテッソーリ園で重要な活動

 

運動の敏感期にある子どもたちは、塀の上や、路上の縁石の上などを好んで歩くようになります。こうした動きをすることで、自分の歩きを洗練させようと一生懸命なのです。

 

そして、3歳を過ぎると、自分のエネルギーを自分で制することを覚えます。これが「自律」の始まりです。このような時に有効な活動に「線上歩行」があります。

 

幅が2.5~5cmの白いビニールテープを用意します。これを、ご自宅の床に綺麗に貼るだけで準備完了です。最低でも5mくらい必要です。

 

まずは親がお手本を見せます。大切なことは「真剣にやってみせる」ことです。月齢が上がり、歩行が簡単にできるようになったら、手に旗を持ったり、頭にお手玉を乗せたりして難易度を上げるとさらなる集中が現れます。

 

モンテッソーリ園で重要な活動「線上歩行」

 

この線上歩行はモンテッソーリ園でとても重要な位置づけにあるお仕事です。「真の自由を手に入れるためには、まず自分自身を征服する者にならなければならない」と考えたのです。自分の人生の主人公になるための大事な第一歩は「自律」にあるのです。

 

<ポイント>

●わが子の観察ノートを作ろう

●1週間に1個、一人でできることを増やしていく

●練習はロールプレイゲームのように楽しみながら

●鏡を自分で見ることで、自分を客観視する目が育つ

 

藤崎 達宏

サロン・ド・バンビーノ 代表

日本モンテッソーリ教育研究所認定教師(0~3歳)

国際モンテッソーリ教育協会認定教師(3~6歳)

 

 

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