22年目の「木造建物」の恐ろしさ…
(3)経年による建物評価の減少
これまでは収益性という視点から物件価格が下がる原因を見てきましたが、資産性という視点でも物件価格が下がる原因がいくつか存在します。
収益物件は建物と土地の2つの資産で構成されています。このうち建物は年月が経てば劣化していきます。劣化といっても資産評価上の問題です。建物自体は、構造さえしっかりしていれば50年、100年保っている建物はたくさんあります。
しかし、建物の資産としての評価は経年で減価します。例えば、木造の建物の場合は、耐用年数22年で減価償却するということが法律上決められています。減価償却とは、資産を耐用年数の間で費用化するということです。つまり、22年で木造の建物は全て費用化され、資産評価はゼロになるということです。資産評価がゼロになれば、売却の時にも建物はゼロに近い評価として取引が行われます。
(4)土地相場の下落
また、土地相場が下落すれば物件の評価が下がります。土地の価格は極端に下がることはありませんが、人口減少や商業が活発になって土地の需要が上がるなどの経済的な影響によって多少の変動があります。
(5)融資状況が悪い
次の投資家が購入する際に融資が付きにくいというのも、物件価格を下げる大きな要因となります。不動産投資の一つの特徴としては物件購入時に「融資」を受けて取得する人がほとんどであるということです。中には物件の大小にかかわらず現金購入する人もいなくはないのですが少数です。そのため、売却を考えた場合ターゲットは多い方が売却価格が安定するのは当然のことといえます。
銀行が収益物件に融資をする際には、投資家と同じように、その物件の収益性と資産性を見て判断しています。収益性が悪かったり、資産性が悪かったりすれば、融資が下りないという可能性もあります。当然のことながら、融資が下りない物件は投資家が買おうとしないので、必然的に物件価格も下がっていくというわけです。だからこそ、購入を検討している物件に融資が付くかどうかはとても重要なのです。
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】