人口減少の局面になり、厳しさが増す不動産投資。先日、世田谷区の空き家が5万件以上と大きく報道され、今後「東京でも不動産投資は厳しいのではないのか」という観測も流れました。東京の不動産投資の今後について、データから紐解いていきます。

東京で不動産投資…今後、気を付けるべきエリアは?

東京の不動産投資でよくいわれるのが、「都心はローリスクローリターン」「郊外はハイリスクハイリターン」ということです。都心はどうしても地価が高くなるため、利回りは低くなります。その分、高い賃貸ニーズから空室は発生しにくく、仮に売却する際も高値で売れる可能性がある、つまり賃貸経営においてリスクは低いといえます。

 

一方で郊外は地価が安いので、都心と比較した際には利回りは高くなります。しかし賃貸ニーズは都心ほど高くなく、空室も発生しやすいといえます。売却の際も高値では売れにくく、賃貸経営においてリスクは高いといえます。

 

そのようななか、高度成長期以降、郊外へと移転した大学の都心回帰という話題から「郊外の不動産への投資はやめるべき」という論者もいれば、昨今のコロナ禍ではテレワークが浸透し郊外の物件の人気が高まっていることから「これからは郊外の時代」と声高らかに訴える論者もいます。

 

また最近では、世田谷区の空き家や5万戸以上もあるというニュースも大きく報道されました。

 

地域経済分析システムで、投資対象となる賃貸物件の分布をみていくと、建物数は環状7号線を中心に広く分布していますが、区部の西側のほうが多く分布しているのがわかります。また郊外へと向かうと、鉄道路線沿線の主要駅近くに集中し、賃貸物件の少ないエリアが目立つようになります(図表1)

 

*500m四方で色分け。~80件青系色、~120件緑、~160件黄緑、~320件黄、~400件薄橙、~600件濃橙、600件~赤

 

出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成
[図表1]賃貸物件の建物数の分布 出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成

 

賃貸物件を住居数でみてみると、同じく、環状7号線を中心に集積していますが、区部の東西の差は気にならない程度に広く分布していることがわかります。また建物数と同様に、郊外では鉄道路線の主要駅近くに限定して集積していることがわかります(図表2)

 

*500m四方で色分け。~80件青系色、~120件緑、~160件黄緑、~320件黄、~400件薄橙、~600件濃橙、600件~赤

 

出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成
[図表2]賃貸物件の住居数 出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成

 

続いて、賃貸物件の空き家の状況をみていくと、環状7号線を中心に広く空き家は分布し、郊外では鉄道路線沿線の主要駅近くに集中しています(図表3)

 

*500m四方で色分け。~15件青系色、~20件緑、~25件黄緑、~30件黄、~35件薄橙、~40件濃橙、40件~赤

 

出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成
[図表3]賃貸物件の空き家数 出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成

 

このようにみていくと、分布の濃淡はあるものの、賃貸物件が多いエリアでは空き家も目立つといえます。今回、空き家問題でセンセーショナルに取り上げられた世田谷区だけ特別空き家が目立つわけではないことがわかります。

 

*2015年と2040年の将来人口の推測を比較し、500m四方で色分け。0~-25%は薄い水色、0~5%は緑、~10%黄緑、~15%黄、~20%薄橙、~25%濃橙、25%~赤

 

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