本記事は、書籍『ワケあり不動産の相続対策』から抜粋したものです税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。同書籍では、「老後の生活資金」はどの程度見積もっておくべきかを危機感を持って説明しています。

月々の支払い合計額は約27万円…対して収入は?

これは、平成24年度の総務省家計調査による、世帯主が60歳以上ですでに定年退職している世帯の、毎月の家計支出の平均です。

 

出典:平成24年度総務省家計調査
[図表]世帯主が60歳以上で定年退職している世帯の家計支出平均
出典:平成24年度総務省家計調査

 

生活に必要な食費や住居費などの消費支出と保険料などの非消費支出と合わせて、高齢夫婦無職世帯の月々の支払い合計額は約27万円となっています。そうすると単純計算で、1年で324万円、10年で3240万円、20年で6480万円の生活費が必要になります。

 

この数字はあくまで平均ですので、各家庭によって比重が大きい項目があったり、また子は独立していて養育費はすでにかからなかったりといった違いは出てくるでしょう。しかし、こういった数値を基本の生活費と考えて、自身の生活費を推測していくのには役立つと思います。

 

20年で6000万円を超える額を皆さんはどう思われるでしょうか。これは、華美な暮らしを想定しているわけではありませんから、ゆとりある生活を考えるのであれば、月々の支出はさらに10万〜20万円ほど上乗せした額で考えることになります。

 

また、長寿国と言われている現在の日本で考えれば、定年退職後は20年どころか、30年、40年と生きていくことも考えなければなりません。そうすれば、9720万円、1億2960万円と必要になる額はどんどん上がっていきます。

 

あと何年生きることを想定するかというのは、人それぞれの事情や考えに委ねることになりますが、ある程度余裕を持って考えておくに越したことはありません。

 

また、収入として計算している年金も、今は破綻すれすれのところで存続している状態です。年金の支給開始年齢の引き上げも段階的に始まっており、平成25年度からは男性が、平成30年度からは女性が、65歳以上での支給となることが決定しました。

 

支給開始年齢はさらに引き上がる可能性もありますし、今後は高齢者の医療費負担も増加することが避けられないでしょう。このあたりの社会保障事情を踏まえて、必要資金は、より多く見積もっておきたいところです。

 

■介護施設の費用、サービス等の情報収集も欠かさずに

 

老後について考えるときは、通常の生活費だけでなく、病院に入院した場合の医療費、介護施設に入所した場合の入居金なども考えておくことが必要です。

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本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『ワケあり不動産の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ワケあり不動産の相続対策

ワケあり不動産の相続対策

倉持 公一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

ワケあり不動産を持っていると相続は必ずこじれる。 相続はその人が築いてきた財産を引き継ぐ手続きであり、その人の一生を精算する機会でもあります。 にもかかわらず、相続人同士が財産を奪い合うといったこじれた相続は後…

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