新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

首都圏の家賃は売り上げの10%を占める

次に大きなコストは、不動産費です。家賃や取得費の減価償却費になります。特に家賃については首都圏の場合、月額売上の10%程度はかかると思います。前記した1人当たりの月額売上61万円のホームの場合、50室規模のホームだとすると家賃は毎月310万円です。この2つのコストで売上の65%はかかります。残りの35%からその他の経費を負担するのですが、今の時代、深刻な話になるのは人材の獲得に要する費用です。ようするに介護職員の募集経費や職員紹介会社へ支払う紹介手数料などです。ちなみに年収350万円の介護職員を紹介してもらった場合、紹介会社には年収の30%程度は手数料として支払いますから、100万円以上のコストがかかる計算です。

 

したがって多くの事業者の場合、利益は売上の10%もあればよいのではないでしょうか。

 

利益は数%にしか満たないというケースもざらです。経営の常識で考えた場合、利益が売上の数%しかなければ、借入金の返済はできません。このため多くの介護事業者の取る戦略は事業を拡大し、売上額を増やし、利益額を増やしていくやり方です。率ではなく額で経営をしていくことになります。

 

さらに重要な視点は、老人ホームはけっして満室にはならないということです。自立の入居者ならともかく、今の老人ホームの主役は要介護高齢者です。要介護高齢者は、健康状態が常に不安定でいついなくなるかわかりません。この場合の「いなくなる」とは「死亡」をはじめ、「長期入院」「他の専門施設への転居」などを指します。常時、数室の空室を前提としたホーム運営をしなければならないということになるのです。

 

どうでしょうか? 老人ホームビジネスは儲かる仕事だと皆さんの目には映っているでしょうか? 私は老人ホーム事業だけではなく、介護保険事業は今のスキームではまったく儲からない事業だと判断しています。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

 

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