「社長の教祖」と異名を持つ一倉定氏は経営者をよく叱った。叱られるたびに多くの経営者は目を輝かせた。社長の教祖は「世の中に、良い会社とか悪い会社なんてない。あるのは良い社長か悪い社長だけである。会社は社長次第でどうにでもなるんだ」と断言したという。なぜ、令和の時代に「一倉定」が注目されるのか。本連載は作間信司著『伝説の経営コンサルタント 一倉定の社長学』(プレジデント社)からの抜粋です。

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「経営計画書」をつくることが社長の仕事

もともと野獣の集団であるから、夕方近くになると会議室に人の姿はなく、こちらがそろそろ部屋に帰って寝ようとする頃に、酔って帰ってきて机に向かい始めるのである。そして、方針書を書いてはみたもののまとまらず、できたと思って先輩に見せると「本気で書いてないだろう!」とボロクソに言われてまた書き直しとなってしまい、いつしか会場は不夜城となる。

 

作間信司著『一倉定の社長学』(プレジデント社)
作間信司著『一倉定の社長学』(プレジデント社)

「これで、社員の皆が理解でき、同じように動けるか?」「現場ちゃんと回ってないでしょ?」と先輩社長は初年兵社長に、自分の経営計画書を見せながら、具体的に書くとはどういうことか、先輩も苦労した点をアドバイスしていたのである。

 

だから、通常の2日間講座が全国どこであろうと、会場に行けば10年来の知己のごとく語り合える仲間がいるのである。まさに同じ釜のメシ、戦友である。

 

一倉先生の指導する「経営計画書」は当然のごとく「数字と文章」からできているが、社長にとっては二大鬼門である。数字嫌いと文章下手の社長が多いからである。しかし、社長は本来人一倍、商売は上手いから会社を大きくしてきたが、経営戦略の全てが頭の中に入っていて高速カン(勘)ピューターで決断し指示を出すが、これまではあらゆる命令を口頭で出してきている。

 

さらに悪いことに毎回微妙に話す内容、重点が違ってくるので社員は混乱し、一人ひとり受け取り方が違ってきてしまう。実際には間に管理職が入り自分の理解で現場指示を出していくので、大きな伝言ゲームをやって部門間の連携は悪くバラバラの経営になっている。

 

だからこそ、正しい「経営計画書」を立て、全社に発表し、文章で徹底することの意義は大きい。「経営計画書」をつくることが、社長の仕事なのである。

 

では、何を書くのか?

 

(1)社長自身が持っている経営理念に基づいた「我社の未来像」と実現のための行動指針「方針書」である。~これが「経営計画の魂」

(2) この「方針書」にそって経営目標となる「目標貸借対照表」「売上利益計画」「資金運用表」の3表を作ることである。~そして、これが「経営計画の仏」となる。

 

当時はパソコンもエクセルもない時代なので、皆シャープペン、万年筆をもって原稿用紙と格闘して、何度も書き直し、建前でなく本気で思っていることを、具体的に書くのである。そして、人の借り物でなく自分の考えにもとづいた方針書ができてくるのだ。

次ページ手で考え、電卓で叩いている社長の頭の中

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