過食嘔吐の女子大生…母「娘は何の病気ですか?」が危険なワケ

うつ、不安・緊張、対人関係の問題、依存症――近年、これらの悩みを抱える人はますます増えている。実は、それぞれに共通する原因になり得るものとして、親との関係によって築かれる「愛着」がある。ここでは、「愛着アプローチ」という手法を用いて、現代人の悩みの解決に寄与したい。※本連載は、精神科医・作家である岡田尊司氏の『愛着障害の克服 「愛着のアプローチで人は変われる」』(光文社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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愛着の安定化を図るには「一対一の関係」で向き合う

通常、家族療法と呼ばれるものでは、支援者は家族を一堂に集めて面接する。そうすることによって家族内の力動が明らかとなり、またその力動をうまく使って家族を動かしていけると考えるのだ。

 

問題が軽く、家族内の亀裂がそれほど大きくない場合には、そうした手法が有効かもしれない。しかし、愛着アプローチでは、前半の愛着安定化アプローチの段階においては、本人と家族は別々に面接するのが原則である。その方が、支援者が本人としっかり関係を作ること、家族と関係を作ることに、それぞれ専念できるからである。

 

関係がまだ十分できていないうちに、一堂に会してしまうと、一方ばかりがしゃべって、もう一方が黙り込んでしまったり、支援者が一方の言い分ばかりに肩入れしていると受け取られたりしがちだ。支援者は三角関係を調整しているつもりでも、実際は、表面的に合わせているだけで、心の底ではどちらもが、自分をないがしろにされたとか、こちらの話を聞いてもらえなかったという不満を覚えやすい。三者の関係を作ってしまうことが、そもそもハードルを上げてしまっているのだ。

 

だから、まずは一対一の関係から始めることが大事である。というのも、愛着とはそもそも「一対一の関係」なのである。安定した愛着が確立されて初めて、三角関係のような三者関係にも耐えられるようになる。愛着が不安定な人は、一対一の二者関係で、すでに躓いている。

 

三者関係になると、それだけで疎外感や不安を覚えやすい。顔色ばかり見て、本音も言えない。愛着の安定化を図るには、きわめて難易度が高いセッティングなのである。成功確率からいっても、まず一対一でかかわり、本人との間、家族との間に、別々に関係を築いていくことをお勧めする。実際、この方法の方がはるかに容易であり、安定した関係を築きやすい。十分に関係ができた上で、双方が会するというやり方が、効果的である。

 

その場合にも、通常の家族療法のように治療者が家族の間にいて、両者の間をとりもつという方法は、愛着の修復には不向きである。当事者同士が向き合い、語り合う場に、治療者や支援者が立ち会うという形の方が、大きな変化を生みやすいし、治療者や支援者という介添え役なしでも、自分たちで向き合える力をつけていくことになる。

 

くり返すが、そもそも愛着とは、「一対一で向き合う関係」なのである。これは、従来の家族カウンセリングの常識と大きく違う点である。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

症状に目を奪われず、愛着関係を注視する

医学モデルとの違いで、すでに述べてきたが、愛着モデルでは、症状は助けを求めるサインだと考える。したがって、症状の改善は治療目標ではない。改善を目指すのは、不安定な愛着である。

 

不安定な愛着によって、対人関係の困難、ストレス耐性の低下、周囲のサポートの得にくさという三重苦を生じている。その結果、孤立、トラブル、心身の病気にいたっている。不安定な愛着を改善することで、一連の悪循環を好循環に変えることができる。それが、しばしば劇的な改善をもたらすゆえんだ。

 

ところが、医学モデルで事態を見てしまうと、どうしても症状に目がいく。症状を問題視し、そこにばかり注意を向けてしまいがちだ。不幸なことに、不安定な愛着の人は、それが親であれ、配偶者であれ、本人の良い点よりも問題点にばかり目を向け、そこばかりを責めてしまう傾向がある。自分の期待通りにできない子どもや配偶者を問題視し、許せないとさえ感じてしまうのだ。

 

症状(問題点)は病気(障害)によるものだと説明してくれる医学モデルは、彼らが抱き続けてきたもやもやした思いに、明確な答えを出してくれる。「それは、病気(障害)の症状なのだ」と。診断されることで、納得がいき、仕方がないのだとあきらめもつく。それで落ち着く面もあるが、それは親や配偶者が、本人に期待するのをやめることによってだ。

 

しかしこれでは、症状を改善する治療に取り組むにしろ、障害として受容し、改善をあきらめるにしろ、本当はできたかもしれない本来の可能性の開花からは遠ざかってしまう。そもそも症状は、助けを求めるためのサインだとしたら、症状だけを改善する治療に励むことは、せっかくのサインを消してしまっているようなものだ。

 

症状にとらわれすぎることは、かえって問題の本質をわかりにくくする。いくつも診断名が並ぶばかりで、本当に必要な対応は見えてこないのである。

精神科医、作家

1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒、同大学院にて研究に従事するとともに、京都医療少年院、京都府立洛南病院などで困難な課題を抱えた若者に向かい合う。現在、岡田クリニック院長(枚方市)。大阪心理教育センター顧問。

著書に『愛着障害』『回避性愛着障害』『死に至る病』(以上、光文社新書)、『ストレスと適応障害』『発達障害と呼ばないで』(以上、幻冬舎新書)、『パーソナリティ障害』(PHP新書)、『母という病』(ポプラ社)、『夫婦という病』(河出書房新社)、『マインド・コントロール』(文藝春秋)など多数。

小笠原慧のペンネームで小説家としても活動し、『DZ』『風の音が聞こえませんか』(以上、角川文庫)、『あなたの人生、逆転させます』(新潮社)などの作品がある。

著者紹介

連載親子、友人…対人関係が上手くいかない人へ!「愛着障害」を克服する方法

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

岡田 尊司

光文社

幼いころに親との間で安定した愛着を築けないことで起こる愛着障害は、子どものときだけでなく大人になった後も、心身の不調や対人関係の困難、生きづらさとなってその人を苦しめ続ける。 本書では、愛着研究の第一人者であ…

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