絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない子どもが、全国の幼稚園や保育園で増加しています。今回は、読み書き算数のいずれかに限局された障害である「学習障害」の特徴や問題点について解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

 

音韻意識とは、人の声(音声)を聞いて、それが意味として意識できる力のことです。たとえば、「はなをさわる」を聞いて、「はな」を「花」あるいは「鼻」といった意味のあるイメージをもつことができる意識のことです。

 

読字障害は、漢字の画数やひらがな、カタカナ、アルファベットなど文字によって困難性は違いますが、おおよそ次のような障害の特徴をもっています。

 

①逐字読み(文字の一字一字をたどる読み方)。スラスラと流暢に読むことができない

②文字を読む際の不自然な区切り方。単語として認識することができない

③文字や行のとばし読み。注意が逸れてしまう

④推測読み。集中が続かない

2.書字表出障害:文字が書けない

文字の「読み」ができるようになって、「書き」ができるようになります。ところが、読めたとしても書くことになると、自分の思うとおりに手や腕が動かず、上手に書くことができないのです。私たちは、いつも利き手で文字を書いていますが、ペンを利き手ではない反対に持ち替えて書いてみれば、改めて文字を書くことの大変さを思い知らされます。利き手でないと力が入らず、少し書くだけでたいへん疲れてイライラしてきます。そして、書くのが嫌になり勉強自体をしたくなくなります。

 

小学校以降での勉強ではノートをとることが学習活動の中心になりますので、徐々に勉強に遅れをきたすことになります。書字表出障害には次のような症状が見られます。

 

1.文字の大きさや並びの不揃い

2.促音(つまる音)や撥音(「ん」と表記される鼻音)の表記の誤り

3.形態が似ている文字の誤り(例、「しこ」と「に」、「め」と「ぬ」、「は」と「ほ」、「す」と「む」)

4.鏡文字や部分の書き誤り

 

最近はICT(情報通信技術)教材の活用が進んできています。これは学習障害をもつ子どもには朗報です。授業のなかでタブレットを使ったり、板書をカメラで写し撮ったりすることに抵抗がなくなってきました。

 

このように便利なツールを使うという合理的配慮が、多くの学習活動でおこなわれる必要があるのですが、これには学校の先生と子ども、学級の周囲との合意が必要です。すべての子どもが授業のなかで、タブレットを使うようになると、学習障害のある子の心理的負担はなくなっていきます。そうでないと特別扱いのような感じになって、周囲から批判を受けたり、本人も便利ツールを使うことに引け目を感じたりします。

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

次ページ「算数障害」ってどんなもの?
もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

絶えず動いて落ち着きがない。話すときに視線が合わない。 一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない「気になる子ども」が、全国の幼稚園や保育園で増えている。 本書では、幼稚園の先生た…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧