2018年に社会問題となった、新築シェアハウス“かぼちゃの馬車"破綻事件以降、不動産投資へのネガティブなイメージが広がっています。しかし、ある一定の条件を揃えることで、収益不動産を活用した資産形成は実現できます。ここでは、だれも気づかなかった投資用不動産物件の評価基準について詳述します。※本記事は『新富裕層のための戦略的不動産投資』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

時代に合ったリノベーションでニーズに応える

前項で時代の流れのなかで、流行り廃りはあると述べました。築年数が経った中古物件であっても十分に競争力はあるとはいえ、間取り、内装や設備などにはトレンドがありますから、それに合わせて変えていく必要があります。

 

例えば、弊社で手掛けた事例として、埼玉県さいたま市浦和にある1993年築の物件を紹介いたします。このマンションでは、一部のお部屋はリノベーションを施さずに、和室のある3DK(DKは6畳)のままで貸し出し、一部のお部屋は和室を洋室に変更し、2LDK(LDKは12畳)にリノベーションしました。1室減ってLDKを広げた形となります。そうしたところ、リノベーションを施した部屋は、していない部屋よりも、2万5000円高い家賃で入居が決まりました。

 

しかし、だからといって、必ずしも「全部屋リノベーションをするべきだ!」というわけではありません。リノベーションをしていない部屋は、社宅として外国人の若者3名での入居が決まりました。ホテルで働く従業員のための寮として法人契約をしていただきました。この部屋は、キッチンも段落ちのもの(システムキッチンのようにコンロ一体型ではなく、別売りコンロを設置して利用するタイプ)ですし、費用をかけずに入居を決めることができています。

 

費用をかけてリノベーションし、賃料アップを狙うか、賃料は据え置きとしつつ、費用は抑えて貸し出すか。こういったこともオーナー様の本業との兼ね合いや、長期的な資産計画に合わせて経営判断し、コントロールしていけることは大きな魅力です。

 

また、リノベーション工事をする際は、当然ながら費用対効果の検証が重要です。工事費用・工事期間に対し、いくら賃料アップできるのかを冷静に判断します。

 

例えば、築30年以上RCの単身者向けマンションでは、バス、トイレ、洗面台が一体となった3点ユニットの物件は珍しくありません。しかし、日本人には敬遠されがちという面があり、それら水回りを分けるセパレート工事が一時期とても流行りました。しかし、工事費用がかかる割には、賃料アップは見込めないことが分かり、今は「3点ユニットに応じた家賃設定で貸した方がいい」という考え方が主流になっています。

 

一方で、築年数が経っているからこそ、問題をチャンスに変えることもできます。このことを説明する良い例として、昨年弊社が販売した昭和63年築の物件があります。

 

本物件は外観がタイル張りで各専有部の面積も広く、都心部へのアクセスも良い優良物件でしたが、1階部が半地下となっていました。その1階部が、ゲリラ豪雨によって浸水してしまい、入居者も当然退去、部屋は泥まみれという悲惨な状態になってしまいました。さらに元所有者様は高齢であり、手間をかけて修繕するくらいであれば早期で売却したいというご意向がありました。

 

このような状況の中、弊社がこの物件を購入させていただき、1階部のリフォーム工事に加えて、浸水を防ぐための排水ポンプの工事や自治体にかけあった道路工事など、新たな姿に再生されました。本物件は昨年の9月に新しいオーナー様に売却しましたが、今日までずっと満室を維持しています。

 

この物件のように、築年が経っていて管理や建物状態に不安が残るという理由で手放すような方も多いです。また、築30年前後経つことにより所有者が点々としたり、相続で引き継がれたりして長期的な視点に立った修繕や管理ができていないケースもよく見られます。そうした場合、適切なリフォームを施せば、資産価値が高い物件へと再生させられます。そうした可能性を存分に有しているのが中古RC物件なのです。

 

 

杉山 浩一
株式会社プラン・ドゥ 代表取締役
宅地建物取引士
マンション管理士

 

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杉山 浩一

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