経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋、再編集した原稿です。

サブリースは不動産会社有利な契約

さて、実際、サブリースは家主にどのように不利に働くのだろうか。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

例えば、サブリース契約付きの中古区分マンションを購入した場合、サブリース契約付きなので、空室リスクは回避されるが、相場と比較すると、安い賃料で貸していることに気づいたとする。そこで、サブリースでなければ、もっと高い家賃で貸せると思った家主は、サブリース解約を申し入れる。ところが、サブリース会社が首を縦に振らないと解約できないのだ。実際、フルローンで、5年後に更新となるサブリース付き中古区分マンションを購入した人がいたが、月々の家賃収入から借り入れ返済分を引くと、ほとんど手元に残らない状況で、サブリースを解約したくてやきもきしていた。

 

一方、サブリースでなく、通常の管理委託契約についても注意が必要だ。

 

「管理会社が入居者募集や家賃集金、入居者からの問い合わせにも対応してくれるので、問題ないですよ」というトークがある。この件も、管理を管理会社に任せることは、すなわち素人でも家主業がラクにできるという意味ではない。

 

確かに日常的な管理業務については、基本的に管理会社が行うため、サラリーマンをしながらの 運営自体に問題はないが、空室があるときは、管理会社に任せているだけでは問題は解決しない。管理会社は、一人の家主の一つの建物の入居者が決まらなくても、所有者である家主ほど危機感はない。空室があれば、その分の管理費が入ってこないというデメリットはあるが、他の管理物件で決めやすい案件を優先した方が効率がいいケースもあるからだ。

 

入居者がなかなか決まらない物件について、管理会社は家賃の値下げか、新しい設備の導入か、室内のリノベーションを提案するケースが多い。しかし、何が本当に有効なのかを判断するためには、家主自身に知識と情報が必要だ。 

 

さらに、最近暗躍している「なんちゃって不動産コンサルタント」は、自分に任せてくれれば、失敗しない不動産投資を指南するとばかりに物件を紹介する。彼らはインターネットに多くの罠を仕掛け、その罠に引っ掛かったカモとなるビギナーたちに、「親身になってサポートする」人の顔をして接触してくるが、彼らは宅建業者でないことが多く、たいてい契約時になると不動産会社を紹介し、急に連絡が取れなくなる。彼らは不動産会社にお客を紹介し、成約すればフィーを受け取るために活動しているというわけだ。相手が素人であることを見越して、いい加減な契約書にサインをさせられてしまったという話もよく聞く。結局のところ、「不動産について知らなくても大丈夫」というのは、全くの間違いだ。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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