どうやって老人ホームを選んだらいいのか? それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者は断言します。そこで著者は、数々の入居者のエピソードを通して、ホームでの暮らしの悲喜こもごもを紹介。現在、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

介護の実態を理解しようとしない日本人

介護認定を受けた人、その家族は、保険制度の意味を理解できているのか?

 

介護保険認定を受けた人やその家族は、介護保険制度の利用の仕方について、しっかりと説明を受けているのでしょうか。私が言う説明とは、通り一遍の説明ではありません。つまり、認定を受けたらケアマネジャーにケアプランを作ってもらって……などという説明のことを言っているのではありません。当然、この手の説明は、行政や地域包括支援センターなどが何度も何度も丁寧に冊子なども作成し、説明しているはずです。

 

小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)
小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)

私が言っているのは、利用者側の心得的な話や、現実的な運営の話です。つまり、利用者に対する教育の必要性のことです。私は、自身の書籍やセミナーでは言い続けていますが、介護保険制度を上手く機能させるためには、制度の中身と同じくらい、利用する関係者に制度理解を促す教育が重要だと思っています。

 

「制度」とは、作成者が一定の状態を想定して作成するものです。つまり、利用する側が、こんな利用の仕方をするのでは? こんなケースが発生した場合は、このように対応すれば解決するのでは? といった具合に一定の想定に基づき作成しているのが普通です。

 

つまり、制度を上手く機能させるためには、作成者の意図を利用者側に正しく理解してもらい、狙い通りに行動してもらう必要があるということになります。

 

相互扶助の精神に理解を

 

介護保険制度の維持には、相互扶助体制が重要です。相互扶助とは、言い換えれば、相手に対する「思いやり」です。特に老人ホームのような集団で生活していく場での介護保険制度は、この相互扶助を理解した上で実践をしていかないと、運営がそもそもできません。

 

要介護度の低い自立に近い入居者が、「自分も同じ利用料金を支払っているのだから、Aさんのところに1日10回介護職員が訪問し生活支援をするなら、自分のところにも10回来ないと不公平だ」とか「10回とは言わないが5回は来るべきだ」などと言っていては、制度そのものの維持ができません。

 

老人ホームの場合は、このような自立系の入居者は、「私は、自分のことは自分でできるので構ってもらわなくても結構です。そのかわり、私が行使できる介護保険の権利は、隣室のAさんが重症のようなので、彼のために使ってください」と言うべきなのです。この考え方を入居者全員が理解し実践することができれば、多くの老人ホームで職員が集まらない、とか職員がすぐに辞めるとかいう話はなくなるはずです。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

 

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