日本は超高齢社会を迎え、労働人口は目に見えて減少しており、年金財源の枯渇を防ぐべく、定年引き上げを実施する企業も増えています。そんな今だからこそ「貴重な人材をどのように扱うべきか」という課題を再考しなければ、企業は運営不能になってしまう可能性があります。今回は、株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏の著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、日本の会社員の労働生産性が向上しない原因や、経営者がどう対処すべきかについて解説します。

 

例えば経営管理者が年間労働時間の1割だけ、つまり174時間を教育に充てることで新たな価値を生み出そうと考えたとします。年間174時間というのは1カ月あたり14時間半になり、1週間に置き換えれば3.6時間に相当します。1740時間のうちのほんの5%としても87時間になり、とてもそんな時間を割くことはできないという経営管理者もいるかもしれません。

 

新たな価値を生み出すためにどうするかは、それぞれの企業が自社の実情に合わせて考えていくべき問題なのです。

資産づくりのための時間を見出せるか

しかし、ここでふたつの問題が生じます。

 

ひとつは現在の利益が、収支トントンに当たる人件費の2倍であり、さらに企業が成長するために利益目標を3倍に設定した場合、成長分の1倍の追加利益を確保するための時間をつくることができるかということ。

 

もうひとつの問題は、年間総労働時間1740時間のうち5%に相当する87時間を使って教育を行ったことで算出された時間当たり単価5万7460円が現実的に可能な数字であるのかという問題です。

 

87時間の中で新たに年間500万円の価値を生み出すためには、時間当たり5万7460円の価値を生み出さなければならなくなります。ずいぶん高い時間単価となります。空理空論になっていないかという疑問が生じます。では最初の問題、人を資産として育て上げるための時間を企業が合理的に見出せるのかについて考えたいと思います。現在の年間総労働時間1740時間のどこから捻出すればよいでしょうか。

 

仕事には、主業務と呼ばれるものがあります。営業、事務、技術、研究、製造などとその種類は異なるものの、それぞれの仕事の中核となる業務です。

 

これに対して、主業務を補完する業務があります。教育研修と会議です。会議には進捗、課題、対策、決定、方針伝達・上意下達などがあり、主業務を支える大きな役割を果たしています。

 

主業務に支障をきたすことなく人を育て上げるためには、教育研修と会議の時間をやりくりする必要があります。時間の捻出は果たして可能なのでしょうか。

 

次ページ企業が手掛ける教育「OJTとOFF-JT」
確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

松久 久也

幻冬舎メディアコンサルティング

人をコストとみるか。資産とみるか。その選択が、会社の明暗を分ける! 日本は超高齢社会を迎え、労働人口は目に見えて減少。年金財源の枯渇を防ぐべく、定年引き上げを実施する企業も増えている。今こそ「貴重な人材をどのよ…

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