脳が疲れ情報を処理しきれなかったとき、ながら行動のとき、気持ちが焦ったときなどに、思いもよらないミスをしてしまうことがあります。ヒューマンエラーを防止するには、活動の流れを追って「要因」を見つけ出すことが重要なのです。※本記事は化学系会社にて5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局を担当していた尾﨑裕氏の書籍『ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。


あなたは、友人や同じ仕事を行う仲間が事故を起こした“夢”を見たことがあるでしょうか? 知人が高所から転落し、そのままピクリとも動かないでいるのです。

 

しかし、それは単なる“夢”です。ですが、夢とは解っていても、その後に鮮明なシーンが頭をよぎってしまい、しばらく寝付けなくなります。それが現実に起こりうる作業を他人に指示するなど、とてもできるものではありません。

 

しかし、その当事者が自分であればどうでしょうか。他人に指示する後ろめたさがない。怪我をしてもそれは自分だ。自分には作業を進める責任がある。自分にはミスを犯さない自信がある。いくつもの言い訳が頭の中をよぎります。

 

実は、判断を下す時点でこのような言い訳が浮かんでくること自体が異常なのです。先にも述べましたが、このような判断を絶対に1人にさせないルールが必要です。

 


問題の発生は、“動機”、“機会”、“正当化”の3つの要素から受ける“誘惑”というダメージを、1人で受けたため耐えきれなくなるのが原因です。システムの問題は、トライアングル(図表参照)の中に“たった1人、生身の人間を置き去りにする”ことにあります。

 

[図表]不正のトライアングル※注

 


必用な対策は、中の人が他に(上司に)相談できるルールを作ること。操業スケジュールを決める権限と責任を持つ上司に情報を伝えることで、対策の選択肢が格段に増えるはずです。そして、そこには“無謀な決断”という選択肢は、存在しません。

 

 

※本記事は連載『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』を再構成したものです。

 

 

※注…動機:不正行為の実行を欲する状況・事情つまり理由のことです。企業でよく発生する不正行為では、“締め切りの期限が迫っており、期限に合わせるために不正を行った”、“要求された予算内で仕事を終えるために、規格で定められた品質の部品を、コストの安い部品で代用した”などの例があります。

機会:不正行為を実行できる環境のことです。例えば、データ改ざんの例では、1人だけでデータを取り扱っていて“他の者に見つからないという状況”のことです。他には「当人がその行為を行っても、罪に問われないだろう」と考える場合も該当します。

正当化:不正行為の実行を自身で容認することです。自分勝手な理屈をつけて、自分の心の中で不正行為を肯定してしまうことです。企業において、「自分が製品の検定で合格を出さなければ、製品の納入が遅れ取引先や自社にも大きなマイナスが生じる。データ的にはわずかな逸脱なので、特にそれは問題だとは思えない」とか、犯罪においては「いまここで盗みをしなければ、自分は生きられない。これは生きるためには必要な行為だ」などのように身勝手な言い訳が“正当化”にあたります。

 

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