日本は超高齢社会を迎え、労働人口は目に見えて減少しており、年金財源の枯渇を防ぐべく、定年引き上げを実施する企業も増えています。そんな今だからこそ「貴重な人材をどのように扱うべきか」という課題を再考しなければ、企業は運営不能になってしまう可能性があります。本連載では、株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏の著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、資産としての「人材」とどう向き合うべきか解説します。

自分の目標利益を理解してもらうことが重要

この単純にして重要なことが、経営側はもちろん、社員ひとりひとりの意識に根づいていないことが多いのです。自分の目標利益、それも企業に貢献できる数字を理解してはじめてしっかりとした仕事ができます。

 

労働分配率をもとに考えますと2倍の付加価値を目指せばよいのですが、経営者や現場で働く社員にとって付加価値は扱いにくい指標であるともいえます。そもそも付加価値の定義が統一されていません。

 

●『中小企業の経営指標』(中小企業庁)

・製造業の場合
付加価値(加工高)=売上高−(材料費+買入部品費+外注工賃)
・建設業の場合
付加価値(加工高)=完工工事高−(材料・部品費+外注費)
・卸売業・小売業の場合
付加価値(粗利益)=売上高−売上原価

 

●『工業統計』(経済産業省)

付加価値=生産額−原材料使用料等−製品出荷額に含まれる国内消費税等−減価償却費

『主要企業経営分析』『企業規模別経営分析』(日本銀行)

付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費

 

●『法人企業統計』(財務省)

付加価値=人件費+動産・不動産賃貸料+支払利息・割引料+租税公課+営業純益

 

このように付加価値の定義は各省庁、各企業によってまちまちです。ここでは労働分配率をもとに考えた場合、人件費の2倍の収益を上げなければ企業は赤字に転落してしまうと理解しておきたいと思います。

 

赤字を防ぐためには経営者も社員も人を資産として認識し、全社一丸となって利益目標を達成することが必要です。そのためには誰もが共有できる指標を持つことが大事です。付加価値に近く、よりシンプルに理解できるのは売上総利益(粗利益)です。


売上高から売上原価を差し引いた売上総利益を指標とするのがよいでしょう。社員は自分の給料の何倍の売上総利益を目標に仕事をすればよいのか。一方、経営側は売上総利益を人件費の何倍に設定すべきかを知ることがとても重要です。

 

[図表]売上総利益

 

松下幸之助氏は次のような言葉を残しています。

 

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