買う時に「ロスカットする株価」を決めておく
では、人間の性質としてロスカットがそもそも難しいのならば、どうすればよいでしょうか?
その解決策は、「自分の感情を抑制し、機械的に行動する」ことでしょう。具体的には、その株を買う時に、ロスカットする株価をあらかじめ決めておけばよいのです。
もちろん株価というのは気まぐれに上下しますので、買った後に値下がりすることは頻繁にあります。しかし、買う時に「どう想定してもこれ以下になることはない」というラインはあるでしょうから、それ以下になってしまったらそれは、「誤った想定」であり「買ったことが失敗」だったのです。
ですから、そうなったらそれを潔く認め、すぐにロスカットをして、その資金を別の用途に使うのが賢明だといえるのです。
おそらく、株式投資で一度も失敗をしない人はいないでしょう。したがって、失敗したらそれを認め、被害を最小限にし、その失敗を次に生かすことが、投資家として成長していくためには避けて通れない道なのではないでしょうか。
「おかしい…」と思ったらその銘柄を再評価
また、ロスカットする株価まで下落しなくても、「値動きがおかしい」「なぜこんなに下がっていくのか」などと疑問を感じたら、その銘柄を再評価することをおすすめします。特に短期的に考えると、株価というのは気まぐれな市場の評価であり、企業の本質的価値とは別のものであるともいえます。
確かに、基本的に良い企業には高い株価がつきますが、一方で、企業の価値とその株価にギャップが生じることは珍しくありません。そうでなければ、バブルも暴落も起きず、株式市場というのはとても安定したものになっているはずです。
ですから株価が値下がりしておかしいと思ったら、もう一度その企業の、「株価」ではなく、「価値」を見直してみることが、転ばぬ先の杖となります。
もちろん、その結果「自分の買い値は割高ではない(価値と比べて株価が高すぎるわけではない)」と確認できたならば、所有し続けてもよいでしょう。しかし、「自分の買い値は割高だった(価値以上に株価が高すぎる)」と気づいたならば、さらなる値下がりの可能性があります。ですからその場合は、その株価でのロスカットも検討したほうがよいしょう。
■まとめ
行動経済学的に、人間にはそもそもロスカットが難しい生き物なのです。ですから、買う時点でロスカットする株価をあらかじめ決めておき、その価格になったら機械的に売るのが、ロスカットのコツとなります。
また、そこまで株価が下落しなくても、おかしいと思ったらその銘柄を再評価し、所有し続けるか、その株価でロスカットするかを検討するのもよいでしょう。
そしてどちらにせよ、自分の失敗を認める勇気がロスカットには必要なのです。
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