約8割もの人が病院で亡くなる時代。誰もが、病名・余命告知や治療方針の希望などを、健康なうちから周囲に意思表示をしておく必要があります。今回は、シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、独居老人だからこそ考えておくべき「人生の幕引き」や、身体が不自由になってしまってもひとり暮らしを継続できる「行政支援」について見ていきます。

家事援助サービスを利用することで、不安を解消できる

病気になることと並び、「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」を不安に感じる高齢者はたくさんいます。まず気になるのは、身体が不自由になったら、いつまで自宅に住み続けられるのかということでしょう。排泄や入浴、立ち上がったり、着替えたりを自分でできない状態になれば、ひとりで生活するのは難しいかもしれませんが、そこまでの状態でなければ、調理や掃除、洗濯などの家事の援助サービスを上手に利用することで、ひとり暮らしを継続できます。

 

家事の援助サービスを上手に利用することで、ひとりでも問題なく暮らしていくことができる(画像はイメージです/PIXTA)
家事の援助サービスを上手に利用することで、ひとりでも問題なく暮らしていくことができる
(画像はイメージです/PIXTA)

 

要介護認定を受けられるほど深刻ではない場合でも、多くの自治体には、ひとり暮らしをしている高齢者の自宅に日常生活の家事を手助けしてくれる生活援助員やヘルパーを派遣する制度があります。自己負担は、1回につきわずか数百円程度です。週に1度まで、1回につき1時間以内など利用制限はありますが、こうした制度をうまく利用するのも一案です。

補助金活用…自宅を「バリアフリー化」で安全に

自宅をリフォームしバリアフリー化すれば、足腰が弱っても、自宅により長く住み続けることができます。たとえば、何十年も同じ家に住み続けている高齢者のなかには、いまだに和式トイレを使っている人も少なくありません。しかし和式は足腰に負担がかかり、転倒につながる可能性が高いので、洋式トイレへ改修するのが望ましいでしょう。

 

さらに、トイレの壁に手すりを取り付ければ、座ったり、立ち上がったりする際にバランスを崩す心配がありません。手の力が衰えると、使用後の水洗ボタンを押すことやトイレ掃除が困難になるので、自動で水洗や洗浄をしてくれる機能がついた便座もいいでしょう。トイレの構造を変える工事が必要になることもあります。

 

たとえば、トイレの出入り口に廊下との段差があると、車椅子で出入りするのが不便です。トイレ介助が必要になった場合には、狭い個室では介助者が入れません。また、すぐにトイレに行けるよう、寝室と隣接した場所にトイレを新設することも考えられます。

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ひとり終活

ひとり終活

小谷 みどり

小学館

元気なうちは気兼ねの要らない自由な暮らしがいいと思っていても、ひとり暮らしの人は、将来に不安を感じることも多い。 介護が必要になったら誰が面倒を見てくれるのだろう? 万が一のとき誰にも気づいてもらえなかったら…

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