なぜ研究員は2年間もの間「メスフラスコ」を割らなかったのか

脳が疲れ情報を処理しきれなかったとき、ながら行動のとき、気持ちが焦ったときなどに、思いもよらないミスをしてしまうことがあります。ヒューマンエラーを防止するには、活動の流れを追って「要因」を見つけ出すことが重要なのです。※本記事は化学系会社にて5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局を担当していた尾﨑裕氏の書籍『ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

 

しかしながら、なぜかこの使用しているバットは、底が少し歪んでおり、メスフラスコを並べたとき安定が悪くグラグラと揺れるため、移動するにはかなり不適切な代物でした。

 

その職場には、同じ作業を行うメンバーがいて、1つのセットを数名のメンバーが共用すると共に、調整台から測定器まで運ぶ作業を全員が行っていました。測定は毎日行うのではなく、普段はサンプル作りや、下準備の実験を行っていました。しかし、ほぼ毎日、メンバーの誰か1人か2人がその測定作業を行うという状況でした。

 

そうです。メンバーの全員が、安定の悪いバットの上にメスフラスコを乗せ、移動する距離は10m程度ですが、通路も実験台の上もさほど整頓が行き届いていない(どちらかと言えば乱雑な)状態の中で、不安定なサンプルを運ぶ作業を毎日繰り返していました。
そしてその作業を行う時には、誰もがこう思っていました。「自分以外の誰かが、必ずメスフラスコを落とすか、さもなければ倒して割るに違いない。しかし、自分は絶対に割らないぞ!」と。

 

結局、あなたはその部署に2年間在籍していましたが、その間一度もメスフラスコは割れませんでした。全員が毎日日替わりで作業を行っていました。ほぼ毎日アルミバットを使ったメスフラスコの不安定な移動が繰り返されていたにもかかわらず、一度としてメスフラスコは、ただの1つも割れなかったのでした。

 

【検討のポイント】
この事例では、事故は発生しませんでした。しかし、事例の中には、問題がいくつかあります。更には、事故を防止するための参考となるポイントが、1つ含まれているように思われます。

 

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大学卒業後、化学系会社に就職。研究開発・建設技術・生産等の職務を経験。退職前の5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局担当。この時期にヒューマンエラー防止の重要性を痛感する。
これまでの経験と知見を基に、組織とそこに携わる人との“あるべき姿”から導いた次世代の「ヒューマンエラー防止対策」を提案。

著者紹介

連載ヒューマンエラー防止対策

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