二つの事案を見比べるとわかるように、面会交流の間接強制が認められなかった事案の方は、各回の面会交流時間の長さについて
「半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)」としつつも、「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」
としたり
「面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める。」
とするなど、条件について協議する余地を残しており具体的に定めずに曖昧さを残していたことが、結論を分けたものといえます。
調停の場や裁判では、子どものことに配慮して、あまり面会の条件をガチガチに決めずに、双方親どうしで柔軟に対処できるように「協議する」といった曖昧な決め方をすることも多かったのですが、この最高裁の登場により、今後は、面会交流の条件もガチガチに固めなければならないと思われます。
因みにこの最高裁は
「子の利益が最も優先して考慮されるべきであり(民法766条1項参照)、面会交流は、柔軟に対応することができる条項に基づき、監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましい」
とも述べていますが、何とも理想と現実のような皮肉にも聞こえます。
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所 弁護士
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