投資家が「破綻を憂慮するのに、日本国債を買う」当然の理由

日本政府が抱える巨額の負債を理由に、破産を懸念する投資家は少なくなくありません。ところが不思議なことに、そんな彼らは日本国債の購入を継続しており、いまなおやめる気配がありません。どうしてなのでしょうか? 経済コラムで多くのファンを持つ経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

直近の運用を考えるなら「日本国債」の購入が安心

日本政府が破産するかもしれないと懸念している投資家たち。しかし、彼らだって日本国債を買っています。しかしその理由は、「日本国債は日銀が買ってくれるから」ではありません。日本国債を日銀に売って、受け取るのは日銀券か日銀への預金ですが、日本政府が破産するときに日本政府の子会社である日銀に対する預金や日銀券を持っていても、意味がないのです。

 

多額の現金を手にした投資家にとって、選択肢は限られています。日本円の資産を持つとしたら、紙幣を金庫に入れておいたり、日銀やメガバンクに預金したりするより、日本国債を持っているほうがまだマシなのです。

 

国債を買ったとしても、日本政府が破産するリスクがあります。そのリスクを避けようとすると、米国債(またはドイツ国債等々、以下同様)を買うしかありません。しかし、それには為替リスクが伴います。

 

仮に投資家が、「今日から明日までの運用を考えよう。明日以降のことは、明日考えればいいのだから」ということで、運用を検討するとします。明日までに日本政府が破産する可能性は非常に小さい一方、明日までにドル安になって為替差損を被るリスクは比較的高いといえます。

 

上記のように考えるなら、日本国債を持っているのがいちばん安全な資産運用だ、ということになるでしょう。だから投資家たちは日本国債を喜んで(あるいは消去法的に仕方なく)持っているのです。

 

もちろん、明日までにドル高円安になって為替差益を稼げる可能性もありますし、米国債の利回りは日本国債の利回りより高いので、米国債を選択する投資家もいるとは思いますが、投資家は基本的にリスクを嫌うので、よほど日米金利差が開いているのならともかく、そうでないなら多くの投資家が日本国債を選択するでしょう。

 

明日になっても、投資家たちは同じことを考えて日本国債を買うでしょう。あさっても、しあさっても、そしてその翌日も。このようにして、日本国債は永遠に買われ続ける可能性が高い、と筆者は考えています。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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