やはり、選択肢は「中古・郊外・RC」への中長期投資
資産性と収益性のバランスを踏まえて、さらに現在の金融環境、賃料、入居率の安定度から将来性を考えると「中古」「郊外」「RCマンション」が浮かび上がってきます。本稿では、なぜ「郊外」なのかという点に簡単に触れたいと思います。
ここでいう「郊外」とは都心への通勤圏という意味で、具体的にはドーナツ状に通る環状八号線と国道16号に挟まれたエリアを指します。このエリアは将来にわたって需要が見込めると考えています。
そもそもこの国道16号線の周辺は、戦後、大都市地域に集中してくる勤労者の住宅を賄うために国の政策として大規模に開発されたエリアです。図表1にある通り、1950年代~1970年代にかけて建設された団地が、国道16号線沿いに密集しています。
この政策の一環として、ただ住宅を建てるだけでなく、道路、公園、上下水道等の公共施設、学校、店舗等の公益施設など街としての環境整備が行われました。そのため、都心へのアクセスがよく、住環境としては整っていて、70年近く人がそこで生活を営んできた「実績」のある場所となっているのです。先日、ある銀行の役員と話をしていたのですが、「国道16号線沿いは圧倒的に便利」と言っていました。その人も国道16号線沿いに住んでいるのですが、郊外型のショッピングセンターがたくさん建っており、駅前よりも便利ということでした。
そういうと、家族向けの住宅をイメージされるかもしれませんが、このエリアの入居者のターゲットはファミリー層だけではありません。
少子高齢化の進む日本では、アジア系の若い人が加速度的に増えていくと予想します。コンビニのレジは日本人のほうが少ないくらいです。海外からやってきた彼・彼女たちは非常に流暢な日本語を話しますし、接客も丁寧です。
今はまだそうした人たちが比較的低賃金の仕事に就いていますが、来年に延期された東京オリンピックを経て、さらにインバウンドに活力が戻れば「日本人よりも英語を話せる外国人を雇いたい」という流れになる可能性は十分にあります。そうなれば、今よりもさらに外国人が私たちの日常生活に溶け込んでいくでしょう。
彼らは都心で働きますが、都心の高い家賃は支払えません。通勤のできる範囲で払える家賃の部屋が必要とされています。
そうした外国人の増加を念頭に置くと、環状八号線と国道16号線の間というのは、生活利便性が高く、中低所得の若者にも住みやすいと考えられます。
そのほかにも、通勤のために都心への移動を必要としない人たち、つまりシルバー層への賃貸需要も見込めますし、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が急激に加速した今となっては、シルバー層に限ったことでもなくなってきました。
「郊外」は、こういった賃貸需要の安定性・将来性のほかにも、都心に比べて広い土地を使って建てられており、積算評価の出やすい物件や、都心ほど金額が張らずに個人の方が購入しやすい価格帯の物件が多いなど、魅力のあるエリアだと考えています。
杉山 浩一
株式会社プラン・ドゥ 代表取締役
宅地建物取引士
マンション管理士
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