兄は堅実なサラリーマン生活を送り、定年退職。弟は人間関係に躓いて以降、母親の収入を頼りに引きこもり生活。弟は、90代となった母親の年金と預貯金を握って離さないうえ、遺言書まで書かせており、母親自身もなすすべがない状態です。将来を心配する兄が資産状況を尋ねても、両者からはスルーされ続け…。どうしたらいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

なぜ「公正証書遺言」を選択すべきなのか

遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類の遺言方法があります。

 

 

遺言者が自筆証書遺言を残しているケースは多いのですが、内容の不備によって無効になることも少なくなく、注意が必要です。お勧めなのはやはり、公正証書遺言でしょう。

 

メリットとしては、改ざんや紛失のリスクがない点、遺言者の身体に障害や怪我があっても作成が可能である点、遺言者が亡くなったあとに行われる、裁判所の「検認」が不要になる点、等が挙げられます。

 

一方、デメリットととしては、手間や時間がかかる、費用が発生する、証人の確保が必要になる、といったものでしょう。

 

しかしながら、これまで扱ってきた多くの相続問題を考えると、公正証書遺言の仕組みは、デメリットを考慮してもメリットの方が多いといえます。

 

もし遺言の準備をお考えの場合は、迷わず公正証書遺言の作成をお勧めします。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録