通勤・通学に、観光に…東京暮らしには欠かすことができない、地下鉄網。駅の利用客の推移をみていくと、都心のいたるところで行われている開発が、どれほどのインパクトがあったのかなど、さまざまなことがみえてきます。今回は東京メトロの駅に焦点を絞り、その変化に注目していきます。

 

■副都心線

「小竹向原」(和光市駅 - 小竹向原駅間は有楽町線と共用)と「渋谷」を結ぶ11.9km、11駅。2008年に開業した、東京で一番新しい路線です。開業当初から一番利用客を伸ばしたのは「東新宿」で322%。増加に最も貢献したのが、2012年、日本テレビゴルフガーデン跡地に誕生した「新宿イーストサイドスクエア」。オフィス・商業の複合施設で、駅直結。オフィスには国内トップクラスのゲーム会社がテナントとして入るなど、通勤客を中心に増加しました(図表9)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表9]副都心線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

アフターコロナ…駅利用が大きく変わる可能性

このように利用客の増加率が高い駅は、大きく、周辺の再開発により、大型の商業施設やオフィスビルができたことで来街が増えた駅、また訪日外国人の増加に呼応するように、人気観光地が近いことで来街が増えた駅に、分けられることがわかるでしょう。

 

なかでも副都心線「東新宿」は、複数路線乗り入れる駅は利用客を合算したうえで集計した増加率ランキング(対象140駅)でも、最も高い数値を記録しています。元々は新宿にほど近くの住宅地で、歌舞伎町や大久保のコリアンタウンに隣接する駅だった「東新宿」。「新宿イーストサイドスクエア」の誕生でオフォス街としての機能がプラスされたうえ、新宿近接という立地から、インバウンドを見越したホテルも増加。近年、来街者が急増していたエリアでした(図表10)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表10]東京メトロ全駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

しかし、この結果はコロナ禍前の駅利用客を集計したもの。コロナ禍により、インバウンド需要は急減。さらにリモートワークの浸透で、通勤利用客も大幅に減少しています。今後、状況次第では、駅利用客も大きく変化する可能性があるでしょう。

 

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