産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、男性のサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。産婦人科院長を務める著者が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。本連載は、東野産婦人科院長の東野純彦氏の著書『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)から一部を抜粋した原稿です。

家事・育児をしたいが、長時間労働で時間が割けない

東野純彦著『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)
東野純彦著『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)

先ほどの二つの例は、どちらも家族と過ごす時間さえあれば起こらなかった問題でした。

子どもとゆっくり過ごしたり、家事をしたりする時間を確保できていれば、妻から責め立てられることもなく、心理的なストレスはそこまで負担にならなかったはずです。

 

しかし、私たちに与えられる時間は1日24時間です。親になったからといって、1日が30時間に増えるわけではありません。バランスを取るためには、やはり仕事にかける時間を短縮し、家事や育児に時間を割くしかないのです。

 

ベネッセ教育総合研究所が就学前の乳幼児を持つ父親を対象に実施した調査によると「家事・育児に今まで以上に関わりたい」と回答した父親は、2005年の47.9%から2014年には58.2%と10ポイント以上増えています。

 

その一方で「子どもとの接し方に自信が持てない」と考える父親は、2005年の36.5%から2014年の44.3%と、7.8ポイントも増加しているのです。

 

調査結果の分析によると「自信が持てない」背景として、帰宅時間が遅く、子どもと接する時間がないためと指摘されています。

 

家事と育児はしたい。けれども仕事をないがしろにはできない。こうしてすべてを真面目にとらえて完璧にしようとする日本人の男性は、心理的に追い詰められて、うつ状態やパタニティブルーに陥ってしまうのです。

 

仕事で疲れた身体を鼓舞して家事や育児を担った結果、妻が笑顔になればその努力も報われることでしょう。しかし、妻からすると家事も育児も夫のレベルでは許せません。

 

「なんでそんなやり方しかできないの?」

「ちゃんと考えてやってくれてる?」

 

せっかく頑張ってもそんなふうにだめ出しをされてしまっては、やる気がそがれてしまいます。全力でやってみたところで母親にはかなわない。自分の能力では足りない。そんな挫折を味わい続けると、心に負担をかけてしまうことになるのです。

 

 

 

東野 純彦

東野産婦人科院長

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