転勤族の長男一家はずっと地方の官舎住まい。長年にわたる両親の介護は、近居の妹2人の役割でした。相続の段になり「遺産分割は平等に」と主張する妹たちと「跡継ぎなのだから自分がもらうべき」という兄との間で衝突が発生。なんとか遺産分割協議が終了し、申告期限に間に合うも、長男と次女の間には修復不可能な溝ができてしまいました。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

たった30cmのために、修復不能なほど関係悪化

桑原さんと次女は、これからも隣同士として住み続けることになるのですから、桑原さんが次女の希望を受け入れれば、兄妹の関係も円満に保てたのではと思うのですが、結局、30cmの道幅のために、兄一家と妹の溝は、修復不能なほど深くなってしまいました。

 

 

父親は認知症を患ったため遺言書を残せなかったのだと想像していますが、もしも遺言書を書き残し、それに沿って遺産を分割することができれば、このような激しい諍いやきょうだい間の決裂は起こらなかったと思われます。

 

介護等で寄与してくれた人があり、貢献度に見合った財産分与をさせる場合は、公正証書遺言があることが望ましいといえます。相続人間において、介護してくれた人、寄与してくれた人の貢献度を認めるのは簡単ではありません。

 

認知症を発症してからでは、遺言書を作成することがむずかしくなります。いずれ被相続人の立場になる方は、できるだけ早めに遺言書の作成に取り掛かっておくことをお勧めします。

 

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

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    本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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