「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

「ドツボにはまった」夢中になった私は…

初めて作った仕掛けでネズミを捕獲し、映像として残すことができた私は、いきなりうまくいったことから夢中になった。ドツボにはまるきっかけとなる成功例である。

 

今ではこのような機器を使うことによって、簡単にネズミの行動を調べることができるのだが、進んで行動を観察しようとする人が少ない。もちろん、仕掛けに対するネズミの行動を観察するのだから、仕掛けが必要になってくる。

 

仕掛けを試作するためのアイデアと資金が必要になるので誰でもそう簡単に取り組むことはできない。それをあえてやろうとしたのだ。誰もやっていないことを面白がってやろうとする物好きはそういないだろう。

 

この最初の成功から今までおよそ10年間、私は様々な捕獲具を試作し使用することによって、仕掛けに対するネズミの行動を観察し続けてきた。

 

豊富な餌の入った怪しげな箱がネズミのテリトリーに突然現れた場合、ネズミたちはどのように行動するのか。多くのネズミがその周りにいた場合、個体間に自由な競争があって、独占するために競争が起きるのか、それとも、なわばりを持つ集団が仲良く餌を採ろうとするのか。分らないことが多い。そもそも、単独で行動することが多いのか集団で行動することが多いのか、それすら分かっていなかった。

 

市販されている捕獲籠はもちろん1匹を捕獲するための物だから、侵入してきたネズミが1匹で単独行動をしている場合、そいつを捕まえればすべてが解決する。しかし、はたしてそんなに簡単なことだろうか。

 

当時参考書として愛読していた昭和49年発行の宇田川竜男著の『ネズミの話』には、ネズミ全般の話として、生まれて15日でもう巣を離れて独立の生活になり、親元を去っていくとある。これを信じるとすると、孤独に耐えて一人たくましく生きようとする子ネズミの姿が浮かんでくるのだが、果たしてそうだろうか。これが本当のことなのか誰も確かめていない。野生ネズミの行動観察などできないから確かめようがないのである。

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捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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