
白内障は誰もがかかる病気です。しかし今では極めて安全かつ精度の高い手術が確立されているので、発症しても心配ありません。とはいえ、いざ手術を受けるとなると、色々と気になる点があるのではないでしょうか。年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香氏が解説する本連載。今回のテーマは「手術前に知っておきたい3つのポイント」です。※本記事は、アイケアクリニック院長の佐藤香氏の語り下ろしによるものです。
「白内障手術は痛いの?」手術前に知っておきたい疑問
私は眼科医として、月300件もの白内障手術を行っています。その執刀経験をもとに、本記事では患者さんからよく聞かれる質問トップ3を紹介したいと思います。

まず1つ目は、「白内障手術って痛いの?」という疑問です。これは本当によく聞かれることなのですが、やはり痛みを伴う手術や治療は受けたくありませんよね。
でもご安心ください。白内障手術においては、痛みの心配はありません。目薬の麻酔を使うので、麻酔をかけるときも手術中も痛くないんです。
「手術後」のほうが大変?手術後の生活における注意点
次によく聞かれるのは、「白内障手術は、手術そのものより術後の『メンテナンス』が大変なのでは?」という質問です。
白内障手術そのものは、痛みもなく短時間で終わるので気軽に受けられる治療ですが、手術後は感染症を予防するために「メンテナンス」が必要になります。
例を挙げると、手術後は3種類の目薬を使用していただくことや、手術後の4日間は洗顔・洗髪を控えていただくことなどです。少々不便かもしれませんが、目の状態を良好にためには大切なことです。「術後のメンテナンス」といってもあくまで短期間のものですから、なんとか頑張っていただきたいと思います。
「両目同時に手術」は可能?メリットやデメリットは?
3つ目によく聞かれる質問は、「両目同時に手術を受けることは可能?」というものです。学校がある方や介護をしている方、お孫さんのお世話をしている方や、ペットを飼っている方など、様々な事情により、家を長期的に留守にすることが難しい場合は珍しくありません。そういう方々が突然「手術が必要ですよ」と言われてしまうと、そんな時間は取れないよ…と悩んでしまいますよね。
実際、通院回数や生活上の制限などの負担を減らすために、両目同時に手術できないかと相談する方が増えています。
もちろん、両目とも同じタイミングで手術するということも可能ですし、安全性においても、片目ずつ行う場合と変わりません。
片目ずつの場合と両目同時の場合とで、手術時の違いを挙げるとすれば、まず、片目のみの場合にくらべて、少々時間がかかるという点です。両目同時に手術する場合、手術室の滞在時間はだいたい15~20分ほどになります。
次は、手術が終わってお帰りになる際、片目のみの手術であれば眼帯を着けていただきますが、両目同時に手術する場合、「保護メガネ」を付けていただくことになるという点です。少々大きめのゴーグルをイメージしていただくとわかりやすいかもしれませんね。
最後は、術後にお渡しする感染予防のための目薬です。両目同時の場合では、10日間ほど使っていただくことになります。
それ以外の部分では、片目ずつ行う場合とほぼ変わりません。強いていえば、両目同時に行うほうが、術後のクリアな視界に慣れやすいため、手術後の安定に至るまでの期間が短いかもしれない、という点が挙げられるでしょうか。といってもこれはあくまで印象ですので、片目ずつ行うか、両目同時に行うかは、患者さんの生活スタイルに合わせ、ご希望に沿うほうを選んでくださいね。
【動画/月間300件の手術を行う医師が解答! 手術前によく聞かれる3つの質問】
佐藤 香
アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長