本記事は株式会社財産ブレーントラストの常務取締役 ・成島祐一氏の書籍『相続財産は"不平等"に分けなさい』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋したものです。最新の法令・税制改正等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

「子どもは1人だけ」のはずが、まさかの事態に…

それは、複数の事業を営み、不動産も所有している資産家の加藤良彦さん(仮名/85歳)という方からの相談でした。すでに妻は死亡していて、家族は長男の太郎さんだけだと言います。そろそろ、相続対策を考えたいと、ご相談にみえましたが、具体的な相続対策を実行する前に亡くなってしまいました。

 

生前に加藤さんから、万が一のことがあれば、相続の手続きをしてほしいとの依頼を受けていたので、私は手続きを進めていました。子どもは1人だけなので簡単だと思い、戸籍謄本を取り寄せて調べてみると意外なことが分かりました。

 

加藤さんは、自分の家族は長男の太郎さん1人と言っていました。しかし、太郎さんには、すでに戸籍上は15年前に亡くなっている花子さんという妹がおりました。さらに驚いたことに花子さんは亡くなる5年前に結婚していて、その年に長男の誠さんを産んでいたことが分かりました。

 

花子さんは結婚後5年で離婚。離婚の理由は定かではありませんが、離婚した相手とかなり揉めることになり、加藤さん側が多額の慰謝料を支払ったと言います。親権は父親側に取られ、誠さんは父親と暮らすことになり、その後は会うこともありませんでした。そのときの心労もあったのか、花子さんは離婚してすぐに亡くなってしまっていたのです。

 

[図表2]加藤家の家系図

 

加藤さんは、かなり前に離婚して親権も失っていて、さらに母である花子さんも亡くなっているので、誠さんは相続には関係ないと思い込んでいたのでした。

 

しかし法律上、誠さんは加藤さんの孫であり、花子さんが亡くなっているので、花子さんに代わって相続する代襲相続人となります。こうして、私は、相続財産を受ける権利がある誠さんを探すことになりました。

 

15年以上のブランクがあって探し出すのに苦労しましたが、やっとの思いで見つけ出し、遺産分割の話をしたい旨を伝えました。すると誠さんは、弁護士と一緒に現れ、今後の打ち合わせは弁護士としてくださいと言い残し帰っていきました。

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