安倍総理退陣…「アベノミクスで景気回復」の評価は正しいか?

安倍総理大臣が退陣を表明しました。政権の目玉政策だった「アベノミクス」は一定の評価を受けているようですが、実際のところ、日本経済はどの程度よくなったのでしょうか。具体的な数字を見ながら振り返ってみましょう。経済コラムで多くのファンを持つ経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

まずは「お疲れさまでした」と伝えたい

安倍総理が体調を崩し、退陣することになりました。政策への評価についても、個人的な好き嫌いについても、個々人で思うところはあるかもしれませんが、長い間日本のために身を粉にして働いて下さったことは間違いありません。感謝するとともに、本当にお疲れさまでした、と申し上げたいと思います。

 

経済政策の結果についてはさまざまな評価があると思いますが、「成長戦略についてはいまひとつであったし、いろいろ問題はあったものの、株価は上がったし、景気を回復させたことは間違いない」といったあたりが、一般的な理解なのではないでしょうか。

 

しかしここではあえて、「アベノミクスが景気を回復させた」という点に焦点を当て、論じてみたいと思います。アベノミクスによって日本の景気は本当に回復したのでしょうか? 回復したのであれば、どうやって回復させたのでしょうか?

 

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(※写真はイメージです/PIXTA)

成長率は民主党政権時代の方が高かった

民主党政権時代、日本経済は円高に苦しみ、株価は低迷していたことから、日本経済は深刻な状況にあったと思っている人が多いかもしれませんが、その間の平均経済成長率は0.4%(四半期ベース前期比)でした。

 

リーマン・ショックからの回復局面であったため、経済政策のおかげで成長率が高かったとはいいがたいかもしれませんが、株価等からイメージされる数字よりは幾分よく思えます。

 

一方、アベノミクス時代の平均経済成長率は0.3%(同)でした。年率1.2%の成長率は決して高いものではなく、「リーマン・ショックからの回復トレンドを腰折れさせずに、緩やかな景気回復を持続させた」くらいの成長率といえるでしょう。

 

ちなみに、アベノミクスの期間としては、昨年秋の消費税増税と今年の新型コロナの影響を除くため、2013年初から昨年9月までの平均を考察対象としてあります(以下同様)。

 

アベノミクスというと「景気が回復した」というイメージが一般的だと思いますが、それでも経済成長率が決して高いものではなかったという点は、しっかりと認識しておく必要があります。

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義の「身近なテーマで経済センスを磨く」実践講座

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