「終活」という言葉が広く認知されるようになり、遺言書をはじめとした相続対策をする人が増えてきました。しかし、事務的なことを書くだけで、本当に伝えるべき思いを、遺言書に残さない人も多くいます。そこで本記事では、大坪正典税理士事務所の所長・大坪正典氏の書籍『相続争いは遺言書で防ぎなさい 改訂版』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していきます。

ご主人は泣きじゃくりながら…

その時に、当のご主人が涙を流しながら、それこそ泣きじゃくりながら、「女房には本当に俺のことで迷惑をかけた。申し訳ない」と言いながら、「ありがとうと言いたいのだが言えない」とつぶやかれたのです。昔気質の、もしかすると「女房になど頭を下げられるか」というタイプの人だったのでしょうが、それでもいつか妻に感謝の気持ちを伝えたいという思いを持ち続けていたのでしょう。

 

私は、「おっしゃったらよろしいじゃないですか。今度は奥様がいらっしゃるときにお邪魔しますから、私と一緒にそのことをお伝えしましょうよ。それなら絶対大丈夫ですよ」と述べたのですが、結局、最後まで自分のそのような思いを上手に伝えることができなかったようです。

 

遺言書も事務的な内容で、奥様への感謝の気持ちは記されていなかったようです。奥様からすれば、ご主人の自分に対する思いを言葉として聞くことができたら、あるいは目にすることができたら、さぞ嬉しかったのではないでしょうか。また、逆に言えば遺言書に何も記されていなかったことには、寂しさのような感情を抱いたのではないでしょうか。

 

もちろん、ずっと一緒に生きてきたのだから伝わるものがあるはずだろうという考え方もあるかもしれません。しかしたとえそうだったとしても、やはり言葉として伝えるのと、そうでないのとでは大きな違いがあるのではないでしょうか。

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