ADHDやASDなどの発達障害の子どもたちは、世界中で様々な教育を施されています。その効果は千差万別であるため、子どもに合った最適な教育法を見つけることが大切です。本記事では、発達障害の子どもが問題行動と思える行動をとった場合の対応について見ていきます。

 

そんなとき、便利な魔法の言葉は「まきもどし!」です。

 

たとえば、バスの時間に遅れて、パニックになってしまった、というとき。

 

「まきもどし!時間を巻き戻そう!」と、家までの道をもう一度戻り、次のバスにちょうど良い時間にバス停に着くように、再度家の前から出発します。大人にとってはなかなか面倒ですが「それで落ち着いてくれるなら…」と考えてみるのも一案ではないでしょうか?

 

そして、そんな風に「まきもどし」を繰り返しているうちに、”失敗してもやり直せる”ことをわかりやすく経験し、理解できるようになります

 

お菓子など、他のものでごまかしてもいいのですが、失敗を克服した経験になりにくく、不満足が残ります。

 

子どもを育てるのは、時間と手間がかかります。「いつもそうしないと…」とがんばりすぎる必要はありませんが、「そんな考え方もあるんだな。」と感じていただけたらと思います。

やってほしいことを伝えても上手くいかないときは…

ワーキングメモリー」と呼ばれていますが、人は何かに取り組みながら同時に、短い時間、保持する記憶を使っています。

 

たとえば、買い物かごを持ってスーパーをまわりながら、献立を考え、必要な材料を想起し、その記憶を保持したまま野菜やお肉をかごに入れ、「醤油はあっちの棚だから…」と記憶を引き出して移動する…と常に記憶を更新しながら、つまり使った記憶は捨て、次に必要な記憶を短い時間保持することを、繰り返しながら行動しているのです。

 

この「ワーキングメモリー」を幼児はみんな、大人ほど上手に使えていません。だから、日常でやってほしいことを子どもに伝えても、行動につながらないことがあるのです。

 

幼稚園の子どもに、複雑な手順のお手伝いを頼むことは難しいですよね。

 

発達障害の子どもは、このワーキングメモリーの使用がとくに苦手なことがあります。「手を洗ってからお弁当だよ」といわれたのに手を洗っていなかったり、「はさみとのりを持ってきてね」といわれたのに、何も持たずに座っていたり、そんなこともありますね。

 

どのくらいの指示であれば理解できるのか、1つずつなのか、2つ同時でも良いのか、2つ同時なら伝え方をどのように工夫するか、大人が配慮することで、子どもの「できない感」を軽減することにつなげられるのではないでしょうか。

 

 

株式会社コペル 有元 真紀
 

本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペルプラス」の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録