1歳の子どもが保育園で発熱…働く妻が落胆した「夫のヘルプ」

産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、男性のサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。産婦人科院長を務める著者が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。本連載は、東野産婦人科院長の東野純彦氏の著書『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)から一部を抜粋した原稿です。

家事を「見える化」することの、すごい効果

幸福な結婚生活をするためには「住みやすい家」「共通の趣味」「家事の分担」「十分な収入」の四つがそろっていることが重要だといわれています。このように、何をすればゴールに近づくかがはっきりしていれば、ほとんどの男性は力を発揮できるものです。だから私は、家事を「見える化」することをおすすめします。

 

「名もなき家事」としてひとくくりにするのではなく、「靴を磨くのは夫の仕事」「会合に出席するのは1カ月おきに交代」など、具体的に誰が何をするかを一つひとつ明確にするのです。そのためには、洗濯や掃除など毎日する家事はもちろん「布団のシーツを換える」とか「新聞をまとめてゴミに出す」といった細かなものまで、すべてのタスクを夫婦で話し合いながら表にするといいでしょう。男性の皆さんは、きっと自分の負担がほとんどないことに驚くはずです。

 

タスクを書き出したら、今度は「これは夫、これは妻」とバランスよく分配してください。それが話し合いです。そして、「もし自分のタスクを相手に代わってもらう場合は早めに声をかける」というルールも設定する。そうやって話し合いのもとでつくられたルールや分担なら、お互いに負担なくスムーズにこなせるはずです。

 

もしくは「タスクを相手にこなしてもらったら、お菓子やビールをお礼にあげる」といったユーモアのあるルールを入れると、ゲーム感覚が生まれるかもしれません。また、毎日目にする場所にタスク表を貼り出すとさらに意識が高まります。一つひとつの家事をマグネットに書き出し、ホワイトボードを使ってタスク管理する家庭もあるようです。

 

子どもが成長したら「自分にもできる仕事がある」とお手伝いのきっかけとなる可能性もあるので、非常に有効です。

母親の早期就労と子どもの問題行動は関係ない

さて、夫としての「家事への関わり方」はこれまでで十分に分かっていただけたかと思います。では「育児」についてはどうでしょう。もしかすると「家事は自分たち男にもできるけど、やっぱり育児は母親主体じゃないと」「どんなに男がヤル気を出しても、やっぱり子どもはお母さんが好きに決まっている」といった考えを払拭できない男性も多いかもしれません。

 

そう思ってしまうのは「子どもが3歳になるまで、母親は子育てに専念すべき。そうでないと子どもの成長に悪影響を与える」といった「3歳児神話」が根づいているからでしょう。確かに現在もこの「3歳児神話」を肯定し、子どもの情緒を育てるには母親の存在が欠かせないと提唱する児童心理学者もいます。

 

しかし私は、決してそんなことはないと考えます。事実、さまざまな研究現場で「3歳児神話」を否定する論文が取り上げられているのです。その一つが1999年に発表された、アメリカのナショナル・ロンディツードゥナルサーベー・オブ・ユースという研究グループによるもの。

 

彼らは、子どもが乳児期の間に母親が早期就労復帰をした場合、子どもの問題行動の発達に影響するかについて、研究しました。サンプリングに使われたのは、1万2600名の14〜22歳までの女性たち。彼女たちから生まれた子ども2095名を12歳まで追跡し、12 歳までの多感な時期において、子どもに問題行動が出たかどうかを測定したのです。その結果、母親の早期就労と問題行動はリンクしていないことが分かりました。

 

最近は共働きがスタンダードになり、1歳になる前から子どもを保育園に預ける母親が多くいます。しかし、年配の人ほど「そんな小さなうちからお母さんと離ればなれになるなんてかわいそう」「働くよりも子どもと過ごす時間のほうが大切」などと言います。その世代が子育てをしていた時代は「24時間365日、母親が育児をする」という考えが当たり前だったからです。子どもにとって母親はかけがえのない存在であり「小さいうちは絶対に一緒にいないといけない」と言われた世代だったのです。

 

しかし、母親のもとを離れて保育園に預けられた子どもは、その間ほかの大人や同世代の子どもと触れ合う機会が増えるなかで、たくさんの刺激を受けることができます。集団行動も早くから身につくため「情緒が育たない」と一概に言い切れるとは思いません。

 

もちろん母親が「私は3歳まで子どもと一緒にいたい」と望むなら、尊重すべきです。正しい選択は各家庭によって異なります。しかし「3歳児神話」という根拠のない幻想で女性を縛りつけるのは極力やめてほしいのです。もしも妻が「子どもが6カ月になったらすぐにでも働きに出たい」と望むなら、その希望は否定するのではなく、夫婦でしっかり話し合って決めていってください。

東野産婦人科院長 

東野産婦人科院長
1983年久留米大学医学部卒業後、九州大学産婦人科教室入局。1990年国立福岡中央病院に勤務後、東野産婦人科副院長に就任。その後、麻酔科新生児科研修を行う。1995年同院長に就任。東野産婦人科では“女性の一生に寄り添う。これまでも、これからもずっと。"をテーマに、妊娠・出産・育児にかかわらず、思春期から熟年期、老年期まで女性の生涯にわたるトータルケアを目指す。お産については家庭出産と医療施設の安全管理の長所を活かした自然分娩を提唱。フリースタイル分娩、アクティブバースの推進など、母親の希望の出産に合わせてサポートしている。また、赤ちゃんとの関わり方が分からない父親のための「赤ちゃんサロン~パパ&ベビークラス」や、育児における父親の役割を学ぶための「父親教室」なども開催。子育てに取り組む夫婦にしっかり寄り添うクリニックとして定評がある。

著者紹介

連載「産後クライシス」…冷え切った夫婦仲を修復する処方箋

知っておくべき産後の妻のこと

知っておくべき産後の妻のこと

東野 純彦

幻冬舎MC

知らなかったではすまされない「産後クライシス」―― 産後の妻の変化、訪れる最大の離婚危機…… カギを握るのは夫の行動!? 女性の生涯に寄り添ってきた産婦人科医が伝授する夫婦円満の秘訣とは

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