産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、男性のサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。産婦人科院長を務める著者が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。本連載は、東野産婦人科院長の東野純彦氏の著書『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)から一部を抜粋した原稿です。

男性は自分の仕事が明確になれば指示どおりに動ける

おすすめは、家事の分担をきちんとすることです。そうすれば女性側も「私は無収入だから頼んではいけない……。」なんて気を使わずに済みます。

 

また、役割を決めることでお互いに手の届いていない部分が明白になります。するとサポートしてあげるべき部分もより分かります。このときはもちろんスマートにやることを心掛けてください。

 

決して「ねえ、お皿洗いは君の仕事だったけど、できていないみたいだから僕がやるよ」などと言わないように。何も言わずにそっと手を差し伸べるのです。そうしているうちに、妻の要望が自然と分かってくるようになります。

 

しかし、どれほど優秀な夫に徹してもできないことはあります。例えばこのようなケースです「家事をしてくれるのはありがたいけど、夫が皿洗いをしたあとはいつもシンク周りが水浸し。うんざり! 言わなくても拭いてほしい!」

 

男性は自分の仕事が明確になれば指示どおりに動けるのですが、決めたことしかやらないことに女性がストレスを感じることもあります。この場合は、妻が夫に繰り返し頼むことで習慣化させるのがベストです。

「妻からの指示が分かりにくい」と悩んでいる?

例えば夫が洗いものをしているときに「それが終わったら、あのタオルでシンクの周りの水滴も拭いておいてくれると、次に使うときに楽で助かるわ」と妻がさりげなくお願いをする。ここで大切なのは回りくどい言い方をしないことです。

 

「いつも気になってたんだけど、お皿を洗ったあとのシンクが水浸しだよ。私が毎回拭い

てるんだけど気がつかなかった? 次に使う人のことも考えてほしいんだけど」

 

この言い方では、夫には何も伝わりません。なぜなら男は論理的思考の傾向が強いので、結論から先に言われたいのです。だからまずは「水滴を拭いてほしい」というお願いを伝える。さらに「あのタオルで拭く」という手順をしっかり説明することで、やるべきことが明確になり、動きやすいのです。

 

すると、やがて夫のなかで「皿洗い後はシンク周りを拭く」と習慣化され、頼まなくてもやってくれるようになるはずです。加えて、「拭いてくれるとシンクがきれいになって次に使うときが楽」ということをしっかり伝えるのがベストです。多くの男性は気づいているのにやらないのではなく、気づけていないだけなのです。だから指示をもらえれば、きちんとできます。

 

もしもあなたが「妻からの指示が分かりにくい」と悩んでいるのであれば、ここに書いていることを例に出し、「脳の仕組みがそもそも違って、理解に差がある。大変かもしれないけど、もう少し詳しく教えてほしい」と話してみましょう。

 

産後の女性は、頼まなくても察して家事をしてほしいと思っています。しかし男性はすぐには変わることができません。ではどうしていくべきか、お互いに話し合うことで解決につなげていくのです。

 

 

 

東野 純彦

東野産婦人科院長

知っておくべき産後の妻のこと

知っておくべき産後の妻のこと

東野 純彦

幻冬舎MC

知らなかったではすまされない「産後クライシス」―― 産後の妻の変化、訪れる最大の離婚危機…… カギを握るのは夫の行動!? 女性の生涯に寄り添ってきた産婦人科医が伝授する夫婦円満の秘訣とは

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