今回は、相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士が、相続の専門家として「不動産投資」について語ります。

「利回り」と「収支」の予測をする

利回りを考える際には、今後20年先、30年先の(下落後の)家賃も予測する必要があります。該当エリアの賃貸需要や家賃相場について、近隣の不動産業者にヒアリングするなど、事前の調査が大切になります。

 

建築対象地が単身者向け、もしくはファミリー向けに適したエリアかの判断も重要です。単身者向けであれば、立地条件がよければ入居者が見つけやすい、部屋数を多くすることにより床面積当りの家賃単価が高くとれる(利回りが良くなる)、相対的に原状回復費用が安い、などのメリットがある反面、立地によっては競争が厳しく、生活環境の変化による退去が発生しやすい、といったデメリットがあります。

 

逆にファミリー向けであれば、入居期間が長い、駅から離れていても需要がある、などのメリットがある反面、相対的に利回りが低くなる、原状回復費用が高くつく、空室期間が長くなる、などのデメリットがあります。双方のメリット・デメリットを理解しつつ、どちらに向いた立地かを判断することが大切になります。

建築会社からサブリースの提案を受けることがありますが、利回りは悪くなり、条件変更もされるため、通常はあまりお勧めできません。

 

収支の予測を立てる際には、固定資産税、管理費、修繕費、火災保険料等の経費や毎年のローン返済額や利払い額を差し引いて検討する必要があります。ローンの返済期間が長くなれば、毎年の収支は改善しますが、その分トータルでの利子負担は当然大きくなります。

区分マンションのメリット・デメリット

区分マンションの場合はどうでしょうか。一般的には、アパートに比べて利回りが悪いといわれています。また立地次第ではありますが、土地の持分が少ない分、将来高く売れにくいともいわれています。空室になり収益が無くなっても(ゼロか百)、管理組合への管理費と修繕積立金が徴収されます。一方で、土地建物の購入に比べて低い投資額で始めることができる、前述の通り相続税の節税効果が非常に高い、といったメリットがあります。

 

■まとめ 

不動産は多くの方が長期で所有しますので、長期的な利回りや所得税、相続税といった税負担も考慮する必要があります。所得額が多くなれば法人化によってメリットが生じるケースもあります。将来的な売却を想定するのであれば、売却時の出口価格も計画の中で織り込んでおいた方が良いでしょう。相続税の瞬間的な節税効果以上に、不動産経営の長期的な視点を持つことがより重要となります。

 

これから始める方は、投資対象とする不動産のタイプや対象エリア、建築業者のタイプ、融資を相談する金融機関も含めて、複数の選択肢を主体的に比較検討していくことが大切といえるでしょう。

 

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