まだ騰がる!?…都心不動産で最後に「ババ」を掴むのは誰か

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

都心不動産、さらなる上昇の条件とは

彼らは結局どうやって儲けるのかといえば、3%のキャップレートで仕入れた東京のオフィスビル(証券化されていますが)の権利を、数カ月から2、3年後までの間に、キャップレート2.5%で買う投資家が出てくると見ていて、その投資家に売却(出口=エグジット)することで利益を確保しようとしているのです。

 

牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)
牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)

簡単なモデルでお話ししましょう。東京中心部のオフィスビルを100億円、3%の投資利回りで買うとします。この投資の意味は100億円支払って買ったビルから毎年、諸経費を除いた利益3億円が手元に残るという投資です。3億円の年間利益しか出なくても価値があると見なすのは、数カ月後、同じ3億円の年間利益のビルを120億円払ってでも買いたいという投資家(つまり3億円÷120億円=利回り2.5%)が現われる可能性があると考え、そうなれば彼らにとっては差し引き20億円もの利益を出口で手にできると想定できるから「買う」という判断を行なうのです。

 

もちろん、3億円だった年間利益が賃料などの上昇で4億円に上がっていれば、投資家目線としては同じ3%の利回りであっても133億円(4億円÷3%)の値段をつける投資家が現われるという目論見になるわけです。

 

このように3%で買って2.5%で売って儲けるようなやり方をアービトラージ(鞘取)取引といいます。マネーゲームをやる人たちにとっては、ごくあたりまえの考え方です。

結局彼らは、こうした数字上でのゲームをやっているだけなのです。チキンレースと呼ばれるのも、まだまだ今後もキャップレートは下がる(価格は上がる)と見るか、東京のオフィス賃料が上がる(キャップレートが上がったことに伴って、利回り調整が生じて価格が上がる)と見るか、あたかも麻雀の卓を囲んでいるような光景なのです。 

 

金融資本主義というのはこんなものです。所詮、日本の将来やらなにやらをまとも に分析している姿など、私はほとんどお目にかかったことがありません。むしろ、自分たちの投資を成功裏に終わらせるために、彼らはさまざまなフェイクニュースを拵えたりさえします。

 

そして結局、最後に誰かが「ババ」を摑んでこのマネーゲームはいったん「お開き」ということになります。「いったん」と言ったのは、ゲームはまたどこかで再開されるからです。上がり切れば売り、下がり切れば買う、この単純な投資ゲームに付き合わされる真面目なビルオーナーやビル管理など、実業を司る方たちにとってはある意味迷惑この上ない世界なのかもしれません。

 

さて、最後の利益とりを目指して、チキンレースはさらに加速するのでしょうか。都心の不動産はそうした意味でまだ、上がるかもしれません。そのための条件とはなんでしょうか。

 

投資家たちの「絶えざる欲望」です。少し心配なのが、海外投資家でも2017年あたりから、あまり日本に馴染みのない国の年金基金やら投資ファンドやらが入ってきていることです。彼らが最後のババ摑みであれば、そろそろ宴はお開きなのです。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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