高齢者のひとり暮らしというと、「かわいそう」というイメージを持つ人が少なくありません。しかし、ひとり暮らしをしている高齢者は、果たして、「子どもや孫と一緒に暮らすこと」を望んでいるのでしょうか。今回は、シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、「高齢者のひとり暮らし」を望む理由や、高齢者が抱える悩みについて解説します。※記載の数値や内容については、書籍刊行時の最新データを使用しています。

独居老人「寝たきりになったらどうしよう」への答え

「寝たきりになったらどうしよう」

 

「介護が必要になったらどうすればいいのだろう」

 

これらは、ひとり暮らしであれば当然抱く不安でしょう。自力で生活できなくなったとき、誰にどこで介護をしてもらうのかは深刻な問題だからです。しかし、介護保険法上の要支援や要介護と認定されても、ひとり暮らしを続ける人は実は少なくありません。厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」によれば、要支援・要介護の認定を受け、自宅で暮らす65歳以上の人のうち、28.3%はひとり暮らしをしています。 

 

とはいえ、そうしたひとり暮らしの人は要支援か、要介護度が比較的低く、要介護4と5の人は9.4%しかいません。一方、介護が必要な人がいる親子世帯では、5人に1人が要介護4や5と認定されています。

 

要介護4は、排泄や入浴、着替え、立ち上がりや歩行が自分でできないため、全面的な介助が必要な状態です。ひとり暮らしでは常時介助してくれる人がいないので、要介護度が進めば、施設や病院に移るか、家族がいれば同居をするかの選択を迫られます。しかし逆にいえば、四六時中の介護が必要ないレベルなら、訪問介護サービスで掃除や食事の準備、買い物、洗濯など、生活していくうえでの援助を依頼することで、ひとり暮らしを続けられるのです。 

 

では、ひとりで生活することができないほど要介護度が進んだら、どうすればいいのでしょうか。

 

介護が必要になったらどうしようと不安に思うのであれば、介護が必要になっても安心できる準備を元気なうちにしておけばいいのです。ひとり暮らしであっても、夫婦ふたりであっても、子や孫と暮らしていても、高齢になって自立できなくなれば、誰かの手を借りて生活する必要が生じます。

 

そうなったときにどうするかは、実はひとり暮らしの人だけの心配ではありません。同居する家族がいるからといって無条件に介護を期待できるわけではありませんし、多くの人は家族にそうした負担をかけたくないと考えています。ですから、ひとりだからとことさらに不安を募らせるのではなく、何ができるかを知り、前もって準備をしておくことが肝要なのです。

 

[図表2]要介護度別の状態区分

 

 

小谷みどり 

シニア生活文化研究所代表理事

ひとり終活

ひとり終活

小谷 みどり

小学館

元気なうちは気兼ねの要らない自由な暮らしがいいと思っていても、ひとり暮らしの人は、将来に不安を感じることも多い。 介護が必要になったら誰が面倒を見てくれるのだろう? 万が一のとき誰にも気づいてもらえなかったら…

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