「社長の教祖」と異名を持つ一倉定氏は経営者をよく叱った。叱られるたびに多くの経営者は目を輝かせた。社長の教祖は「世の中に、良い会社とか悪い会社なんてない。あるのは良い社長か悪い社長だけである。会社は社長次第でどうにでもなるんだ」と断言したという。なぜ、令和の時代に「一倉定」が注目されるのか。本連載は作間信司著『伝説の経営コンサルタント 一倉定の社長学』(プレジデント社)からの抜粋です。

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なぜ、今でも「一倉定」が注目されるのか?

どんなに正論の経営書であっても売れなければ出版社にとって事業は成立しないので、マーケティングの原則通り、エッジの効いたタイトル、内容、さらには超レアな成功事例を「これこそが最新の経営手法」とばかりに囃し立てる。読めば確かに面白いし、知識が増え、自分自身が成長しているように思えてくる。

 

特にカタカナのビジネス用語、アルファベット3文字~4文字の略語がくせもので、いかにも最先端のように感じるが、そのほとんどは10年、20年前にも同じような内容で、しかし別の言葉・概念で語られていたことが手を変え品を変え登場している。

 

若い社長にしてみれば、アメリカの最新ビジネススキルや憧れの社長が語る成功ストーリーであるため、自社に取り入れIPOに突き進みたい衝動に駆られるのはわからないでもない。しかし、冷静に考えてほしい。サッカーであれば県大会、国体に出るチームが、ワールドカップの優勝チームに挑むようなものである。練習方法さえ参考にならないこともある。

 

だから私は、勉強会に出席する社長、特に高学歴の若手社長にはいつも、本やベンチマーク企業を見るときの方法論を次のように説明している。縦軸に海外と日本、横軸に大企業と中小、ファミリー企業と置き、4つの象限マトリックスを書く。そして、今の勉強対象がどの象限であるかを確認するように、と伝えている。

 

『一倉定の社長学全集』(日本経営合理化協会出版局)を改めて読んでみると事業経営の原理原則とともに、会社で働く人間そのものについても説かれており、社長が陥りやすい判断ミス、あるべき姿が多くの体験と指導事例を通して書いてある。

 

だから、日本の中堅企業、中小企業における同族企業のオーナー社長としての原理原則をしっかり身に付け、自分自身の考え方、経営の軸をしっかり持った後に応用として最新手法を取り入れることを私は勧めている。

 

基本動作の反復練習の大切さについては、一流のアスリートならば誰もが認めるところであり、事業経営もまたしかりである。一代で1兆円を超える成長企業を築かれた社長が、若い時期に一倉門下生として勉強しておられたのを私たちは見ている。

 

基礎を固めてその後、多くの勉強で自身の器を大きくし、事業を育て、次世代にバトンを託す時期を迎えたら、『一倉定の社長学全集』を後継者に渡すオーナー社長は今でもたくさんいらっしゃる。原則はいつの時代にも通用するから原則なのである。

 

スタートアップ時点でイグジット(出口)を考え経営することも否定はしないが、経営の主流になることはない。新しい古いの問題ではない。資本主義、経営に対する多くの日本人の哲学の違いであるからだ。

 

作間 信司
日本経営合理化協会 専務理事

 

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一倉定の社長学

一倉定の社長学

作間 信司

プレジデント社

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