日中に襲われる強烈な眠気、会議中あるいは作業中に意識が飛ぶような感覚。多くの人が日常で感じているこれらの症状のなかに、単なる眠気や疲れとして見過ごせない、深刻な問題が潜んでいるケースがあるのです。スタンフォード大学医学部教授が、睡眠トラブルの問題について警告します。※本記事は、スタンフォード大学医学部教授・西野精治氏の著書『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』(PHP研究所)より抜粋・再編集したものです。

「脱・睡眠負債」を目指すは、時間術的な視点も必要

「どうして、こうも毎日が忙(せわ)しなくなってしまったのか……」

 

こんな疑問を感じませんか? インターネットの普及以降、時間の回り方が急激に変わったように思います。買い物も、自分で店に出かけていかなくても、ネットでポチッとやれば注文できて、届けてもらえる。ものすごく便利になって、時間をかけなくてもよくなっているのに、その分、空き時間ができているかというと、そんなことはありません。

 

むしろ前よりも忙しい。それは、以前なら数カ月かけてやりとりしていたことも、スピードアップした対応が求められるようになっているから。

 

たとえば、専門的な研究論文の査読なども、以前は2カ月くらいかけて読んでレスポンスすればよかったのが、いまは2週間以内くらいに時間が短縮しています。査読に要する手間が何か軽減したわけではないのですが、すばやいレスポンスが求められます。

 

早くやったら後が楽になるかというとそうではなく、何か動くごとに、処理しなくてはならないことがさらにどんどん増えていきます。現代は、情報量が圧倒的に増え、それにともない活動量、処理しなければならないことも、加速度的に増えているわけです。

 

みんな、時間が足りない──。ですから、どのように時間を捻出したらいいか、タイムマネジメント、時間術のアイデアが欲しいわけです。

 

睡眠を論じるうえで、生理学の知識と時間術とでは土俵が違うわけですが、このような状況のなかで「脱・睡眠負債」を目指すためには、時間術的な視点も必要になります。一生のうちの3分の1もの時間を費やすことになる睡眠時間をどのように捉えるかという問題にもつながっていきます。

 

1日24時間という時間は変わらないのです。そのなかで、自分は何の時間に価値を置くのか。それぞれの価値観によって、「何を無駄な時間と考えるか」は違います。

 

しかし、その無駄を削ぎ落としていくとき、そこに睡眠時間をカウントすべきではないと、私は睡眠研究者として声を大にして言いたいのです。

 

睡眠時間はきっちり死守し、起きている時間のなかで無駄を削っていくべきです。

 

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