半沢直樹も参戦!企業の巨大プロジェクトを支える銀行の胸算用

大人気ドラマ「半沢直樹」の主人公も勤務する銀行ですが、そこで行われている業務内容について、皆さんはきちんと理解しているでしょうか。よくご存じのATMによる入出金や行内の窓口業務とは一線を画す、非常にスケールの大きいビジネスが展開されているのですよ。経済評論家で、自身もメガバンク出身の塚崎公義氏が、「銀行の仕事」について解説します。

みんなが知っている銀行業務の内容は…

銀行はだれもが利用しています。それは「便利」だからです。ATMで送金するのは現金書留で送金するよりも早くて正確ですし、海外への送金もスマートに取り扱ってくれます。

 

手数料が高いので、IT技術が発達するとほかの業界に商売を奪われるかもしれないとはいわれていますが、いまのところは世の中に大いに役立っているといえるでしょう。

 

預金を預かってくれるのも、ありがたいですね。いまは利子がほとんどゼロですが、それでも考えようによっては、自宅に金庫を買ってタンス預金しておくよりははるかにいいですからね。もちろん、昔のように金利を払ってくれれば、なおいいですが。

巨大な工場が建設できるのも、銀行があるおかげ

しかし、じつは銀行が最も世の中の役に立っているのは、企業が大規模な工場等を建てる際に「資金を借りることができる」ということなのです。銀行がなければ大きな工場は建てられず、日本はいまでも江戸時代のように農業国だったかもしれないのです。

 

筆者は給料の一部を老後のために銀行に預けていますが、もし銀行がなく、筆者自身が「どこか工場建設資金を求める企業に、老後のために貯えている資金を貸してあげたい」と思い立っても、実現させるには大変むずかしいプロセスを踏むこととなるでしょう。

 

まず、資金を借りたがっている会社を探し、その会社の返済能力を調べ、契約書を作成し、融資を実行する。その手間たるや、大変なものですね。

 

借りたがっている会社のリストはインターネットが発達している現在なら作れるでしょうし、返済能力も「格付機関」が格付をすればいいのでしょうが、それらを銀行がやってくれていると大変助かります。契約書の作成も銀行がやってくれます。

 

それ以上に問題なのは、貸し手である筆者に「いつ資金が必要になる事態が生じるかわからない」ということです。老後のために預金したつもりでも、急病になって資金が必要になるかもしれません。天災で自宅が大きな被害を被るかもしれません。そう考えると、老後のために蓄えている資金であっても、工場建設資金として貸し出してしまうわけにいきません。

 

筆者以外の大勢の国民も同じことを考えるでしょう。つまり、大勢の国民が老後のための資金を蓄えており、ほとんどの人がその資金を老後を迎えるまで使わないにもかかわらず、「万一のことがあったら心配」いう理由だけで、だれひとり「工場建設資金を貸し出そう」という勇気のある人は出てこない、というわけです。

 

それならば銀行を作り、私たちから普通預金を預かって、いつでも引き出せるという安心感を預金者に与えてやればいいのです。実際には彼らのほとんどが引き出しに来ないのですから、彼らから預かった資金を、工場建設資金として貸し出してしまえばいいのです。

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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