新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

今後はビルやマンションの管理業務もAIが支配

ホテルの宿泊業務にもAIの波は押し寄せています。ホテルは季節や曜日、天候、イベントの有無などによって稼働率や宿泊単価に大きな変動が生じるビジネスです。以前は旅行代理店に部屋を預けて、彼らの顧客に売ってもらうという「業者任せ」というのが宿泊部門の仕事でした。したがって宿泊支配人というのはとにかく旅行代理店を接待しまくって、なるべく自分のホテルに顧客を優先して廻してもらうように取り計らうことが、重要な仕事の一つでした。

 

ところが、現在ではシステムにこうした変数を入れて宿泊管理を行なうようになり、旅行業者への接待はなくなりました。このレベニューマネジメントと呼ばれるシステムを操る人材がホテルでは重要な役割となっていたのですが、ここにAIが加わるようになり、現在は「無人」でもAIが勝手に指示を出して宿泊客を受け付けるようになってきました。

 

おそらく今後はビルやマンションの管理業務でも、こうしたAIによる支配が出てくるかもわかりません。マンションのモンスタークレーマーも、今後はAIに逆襲される時代がやってくるのかもしれません。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

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