自分で書いた遺言に驚き、遺言内容を変更したことで「争族」が起きてしまったケース。この母親は「長子が跡継ぎ」という昔ながらの考えに基づき、全財産をすべて長男に譲ると宣言し、その内容を自ら遺言に書いていたはずですが、ある事件をきっかけに豹変してしまいました――。 ※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

2020年施行の法律で「改ざんリスク」は減ったが…

こうした自筆証書遺言のリスクを解消するため、2020年7月から「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」が施行されることになりました。この法律によって、今後は自筆証書遺言を法務局に預けられるようになります。

 

少なくとも、改ざんや紛失、不発見のリスクがなくなるので、実質的に自筆証書遺言も公正証書遺言に近い信頼性が担保されます。

 

自筆証書遺言が良いか、公正証書遺言が良いか、どちらが正解ということはありません。起こりそうなリスクを事前に考え、そのリスクの芽を摘みとる行動を一人でも多くの人にとっていただきたい。

 

「我が家は大丈夫」という思い込みを捨て、「争族が起きるかもしれない」という視点で遺言を作ってください。

 

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争族を避ける対策⑤ 自筆証書遺言のリスクに配慮する

 

自筆証書遺言とは、遺言者本人が自筆で作成する遺言です。思い立ったときに、いつでも書くことができ、気持ちが変わったときの修正も簡単で、書くだけなら費用はかかりません。

 

ただし、記載ミスがあると遺言として効力がなくなるおそれがあるので、書き方は十分に注意しましょう。例えば、「日付を書かない」「相続財産の目録以外の部分をパソコンでつくってしまう」「印鑑が押されていなかった」――こうしたミスがあると、遺言がすべて無効になってしまいます。また、家族が容易に手に取れるところに置いておくと、誰かに改ざんされるリスクがあります。

 

かといって、誰もわからないところに保管したり、誰も開けられない金庫などで厳重に保管したりしてしまうと、死後に遺言のありかがわからず不発見のリスクが生じてしまいます。遺言が見つからなければ、望み通りの遺産相続を行うことはできません。

 

遺言の保管場所は悩みどころです。そのような自筆証書遺言のデメリットを解消するため、2020年から法務局で自筆証書遺言を保管してくれるようになります。

 

ただし、この制度を利用するためには、必ず本人が法務局に出向かなければいけません。足腰が悪くなってしまうとこの制度も利用できなくなるので、やはり遺言は元気なうちに用意すべきでしょう。

 

自筆証書遺言の新制度は有効活用したいですが、公正証書遺言は証人が2人いますしより客観性の高いものとなります。

 

よって、まだまだ公正証書遺言が作られるでしょうし、有効だと思います。

 

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【争族を避けるポイント】

1.自筆証書遺言は定められた記載形式を守る

2.誰もが手に取れる場所に保管しない

3.死後に紛失・不発見とならない場所に保管する

4.そもそも、自筆証書遺言によるべきかも慎重に検討する

 

 

江幡 吉昭

一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

 

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