争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

調査官は重加算税をかけたがる
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詐欺グループに「狙われやすいお金」の特徴は…

4 被害者の対策

 

電話をかけられた方々に気をつけてもらいたいのは「複数の人間が綿密に連携して連絡をしてくる場合もある」という点です。ぜひ認識しておいてください。

 

たとえば投資詐欺の場合、今回の〇ファンドの事例のように、犯人の1人が誰もが知るような大きな投資会社を名乗り「〇という投資物件に注目が集まっている。売ってもらえないか」と嘘の営業電話をかけ、後日ほかの人間が「〇という投資物件が人気なのですが、買われませんか」と伝えてくるなど、演劇のように連携して攻めてくる詐欺組織もあります。

 

 

対策としては、単純に考えてみることが大切です。超人気商品をわざわざ向こうから持ち込んでくることはありません。必ず儲かる話なら、いくらでも興味を持つ人がいるので電話営業をする必要がないし、そもそも営業をかけた本人が他人からお金を借りてでも買うでしょう。

 

もう1つ言えるのは「黒いお金(脱税に近い手法で貯められたタンス預金など)」のほうが狙われやすい傾向にあります。なぜなら、被害にあった人間が警察などに訴えることができないからです。

 

とにかく「これは詐欺ではないか」と少しでも思ったら、自分の判断でお金を払ったりせず警察に相談しましょう。警察も詐欺事件の多さ、被害額は深刻な社会的問題と考えており、対策に力を入れています。相談に行けば真摯に対応してくれるでしょう。

 

5 どのような対応ができるか

 

警察に相談に行った結果、加害者が捕まった場合はどうなるでしょうか。もちろん加害者には詐欺罪(刑法246条。10年以下の懲役)が成立します。不法行為に基づいて、民事の損害賠償請求もできます。

 

しかし、このような振込詐欺の場合、お金がすぐ裏の親玉のもとへ流れてしまいます。その後海外の預金口座などに移されることも多く、取り返しは難しいのが現状です。被害金を取り返す法的な方法の充実が待たれます。

 

一応「振込詐欺救済法」という法律により、詐欺集団のものと思われる預金口座は、警察に申告すると簡単に凍結できるようになりました。しかし、この場合も出し子に現金をおろされているケースが多発しています。いずれ強制執行のための民事執行法が改正され、少しは回収しやすくなるとは思いますが…。

 

まずは個々の皆様において「身元がはっきりしない人達が『お金を渡せ』『振込め』と言ってきたら、ほぼ必ず詐欺である」と認識する必要がありますね。本件の事例でも、まずは警察に相談に行くことが重要です。その後弁護士に頼んで、取り返しを検討するといいでしょう。

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