老後の資産形成「投資は危険、預金は安全」という大いなる誤解

経済評論家・塚崎公義氏による「人生100年時代の老後資金を考える」シリーズ。第20回は、老後資金をすべて銀行預金として保有する「危うさ」について言及します。預貯金や現金は、株式や外貨のように値下がりする心配が少ないことから「安心・安全な資産」と考える人も少なくありません。しかし、現在の日本にはインフレの兆候が見て取れるほか、人知では制御できない大規模な自然災害のリスクもあることなどから、意識の変革が必要なのです。

預貯金が「株式や外貨と同じリスク資産」といえる理由

銀行預金は、株式投資と違って値下がりのリスクがありません。万が一銀行が倒産しても、元本1000万円までの預金は原則保証されるという預金保険制度があります。このような点から、銀行預金を「リスクのない安全資産」だと考えている人が一定数存在します。とくに高齢者にはこの考え方が根強いようで、老後資金を「銀行預金一択」としている人も少なくありません。

 

たしかに、銀行預金や現金が減ることは考えにくいので、株式や外貨等と比較すると「安全な資産」といえるでしょう。しかしそれは、インフレの可能性を考えない場合に限った話です。

 

インフレが来れば、預金や現金で買えるものが減ってしまう(目減りしてしまう)ので、当然、老後の生活資金が不足するリスクがあるわけです。この点を考えれば、預金も現金も立派な「リスク資産」だといえます。

 

銀行預金も「リスク資産」
インフレが来れば、銀行預金だって目減りする。(※写真はイメージです/PIXTA)

「インフレは来ない」と思い込む、危険な思考回路

日本では過去30年以上、インフレが来ていません。そのせいか「インフレなど来ない」という前提で人生設計を立てている人が多いようですが、その思い込みは危険です。過去30年間起きなかったからといって、今後も起きないとは限りません。

 

なぜインフレのリスクを考えるべきなのでしょうか。その理由のひとつとして、筆者が予測するメインシナリオがあります。それは、

 

①少子高齢化による労働力不足で、労働者の賃金の上昇が続く

②人件費の増加分を売値に転嫁する企業が増加

③結果、インフレへと突入

 

というものです。

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義氏の「人生100年時代」を生きる資産管理・資産形成術

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