ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

企画書も報告書も担当者ごとのツギハギ書類

●広告も制作も分かっているウェブコンサルタントはほんの一握り

 

以前は私も大手広告代理店の外注先となって仕事をしていましたが、その職場に行ってみて驚いたのは、自社の社員がほとんどいなかったことです。営業担当以外は全員が外部スタッフで、その会社の名刺を持ってクライアント先にも同行していました。それぞれが制作、アフィリエイト、SEO、リスティング広告の担当で、数名のチームを組み、大手のブランドで契約を取ってくるというしくみです。これはほかの大手代理店も基本的には変わりません。

 

受注した案件を営業担当がプランニングして、専門家である会社に任せるのなら話は分かります。しかしそうではなく基本的には丸投げです。クライアントに出す企画書も、1ページから5ページまでリスティング担当が書き、6ページから10ページまではSEO担当が書いて、その次は制作担当が書いていく……という具合で、それを束ねると完成です。

 

企画書を全部自分で書いて、ここに書いてあることをやってくださいと外部に発注できるのは、優秀な営業担当者になります。リスティング広告もSEOも制作も、自分で企画できるだけの知識や経験があるので、商談も全部一人で話をまとめることができるでしょう。そこまでできるプランナーには、大手広告代理店でもごくたまにしか会うことができません。広告代理店は、企画を立てるプロだと思っている人が世間には多いと思いますが、広告も制作も分かった上で、企画を立てることができる人は、ほんの一握りです。

 

●代理店の下請けがクライアントの相談相手になっている

 

広告代理店だけでなく、SEO会社や、制作会社も、自分たちでできないことを外注先に丸投げして、名刺を持たせて社員のように動かしています。特に運用やプランニングができる人が不足するので、私が下請けの会社にいたときは大手広告代理店からSEO会社、制作会社までさまざまな会社の仕事をしていました。

 

クライアントの相談に実際に乗っていたのは外注先の私だったのです。会社に電話するといつも不在で、直接取り次げないから営業を通して連絡するようにと言われたそうです。そのうちに、どうもあの会社の人ではないようだと勘づき、私が抜けた後で運用成績が急降下して、やはりそうだったと確信に変わったと言っていました。検索やフェイスブックで私の名前を調べて、あの代理店はもういいからあなたと直接仕事がしたいと連絡をされた事もありました。

 

また、こんなひどい代理店もありました。最初は業務提携して私が運用を黒子として担当していましたが急に担当から外されました。運用のノウハウだけ盗んで社内でやろうとしたのでしょう。しかし結果を出せなかったのでクライアントからクレームがついて、結局また担当として復帰した、ということもありました。外注先にまでこういうことをする悪徳会社が、真面目な会社の足を引っ張っています。

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増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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