同居している、あるいは実家の近くに住んでいて親の面倒を見ている兄弟姉妹が、生前に財産を消費してしまっていることが原因で「争族」となってしまうケースは、非常に多くあります。このご家族の場合も裕福だった父親が億を超える預金を母親に遺しましたが、その母親が亡くなった後の二次相続でわかったのは銀行残高が数十万円にまで激減していたことでした…。 ※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

お母さんのための生活費…に、「月70万円」?

【登場人物】(年齢は相続発生時、被相続人とは亡くなった人)

■被相続人

母:敦子(91歳、東北地方で夫が造り酒屋を経営)

 

■相続人

相続人 長女:春美(70歳、東北のある地方都市に在住)

次女:奈津美(68歳、神奈川県横浜市在住)

三女:秋絵(65歳、東京都在住)

 

■遺産

自宅(約3000万円)、銀行預金数十万円

 

 

■銀行口座の取引明細書から発覚した長女の裏の顔

 

「お姉ちゃん、これどういうこと! 説明してよ?」

 

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次女の奈津美が大声で長女の春美に詰め寄った。手にしているのは、母親が遺した銀行口座の取引明細書だ。

 

「なに、これ?」

 

春美は面倒くさそうに手で払う。

 

「お母さんの預金通帳が見つからないから、銀行に頼んで取引明細書を出してもらったのよ」「取引明細書? 何のために?」「何のため? それはこっちが聞きたいわよ」

 

奈津美が指さした取引明細書の欄には、毎月70万円もの現金が引き出された記録が載っている。

 

「というか、通帳は?」さらなる悲劇が妹を襲う…。(※写真はイメージです/PIXTA)
「というか、通帳は?」さらなる悲劇が妹を襲う…。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

「だから何なの? お母さんのために生活費をおろしただけでしょ」

 

「90歳のお母さんが毎月70万円ものお金を何に使ってたっていうの? おかしいよね、こんな大金」

 

「介護を手伝ったことのないあんたたちにはわかんないわよ。ホームヘルパーさんを頼んだり、デイサービスに行ったり、お金がかかるのよ、年寄りは」

 

春美はため息をつきながら、妹たちに悪態をつく。その春美の態度に怒りを抑えきれなくなった奈津美は一気にまくしたてた。

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プロが教える 相続でモメないための本

プロが教える 相続でモメないための本

江幡 吉昭

アスコム

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