白内障の手術方法…メスとレーザーどちらがいい?執刀医が比較

白内障は、誰もがなる病気であり、根治させる方法は手術しかありません。とはいえ、症例の多さゆえに治療技術の発達が目覚ましく、いまでは極めて安全かつ正確な手術方式が確立されています。各方式の特徴を知り、より自分に合う治療法を選択しましょう。年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香氏が解説する本連載。今回のテーマは「白内障手術の方法」です。※本記事は、アイケアクリニック院長の佐藤香氏の語り下ろしによるものです。

メスとレーザーの両方を使える眼科医はレア

白内障は誰もがなる病気です。手術により、白内障のみならず近視や遠視、乱視、老眼までも治すことが可能です。手術そのものは、濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを入れるという工程のみですが、その際にメスを使うのか、レーザーを使うのかという点で大きく分けられます。

 

前者は、医師がメスなどの器具を使い、手作業で行う方法です。これは「マニュアル手術」とよばれる昔ながらの方法であり、現在でも圧倒的多数の医師がこの方法を取っています。後者のレーザーは最新の手法です。

 

私は日々、それぞれの方法を使って多くの患者さんを治療しているのですが、実は2通りの方法が使える医師は非常に少ないんです。そのため、両方を知っている立場からご説明する内容は、なかなかレアな情報といえます。本記事では、それぞれの違いは何か、どのような特徴があるのかについて、白内障手術の流れとともにご説明しましょう。

 

執刀医が多い「メス」、正確無比の「レーザー」

白内障手術は、3ステップで説明することができます。

 

◆ステップ1:角膜切開

 

まずは「角膜切開」です。黒目のところに、器具や眼内レンズを出し入れする「入り口」を作る工程です。今では2mm程度の切開で十分ですが、昔は6mmも切らなくてはなりませんでした。「その程度なら小さいのでは?」と思う方もいるかもしれませんね。しかし、目の大きさを考慮すると、結構な大きさであることがわかるでしょう。技術進歩に伴い、傷口も小さくなっていきました。ちなみに、当院では2.4mmです。

 

傷口が小さくなったことにより、手術後の回復が速くなり、感染症のリスクも極めて低くなりました。また、手術の翌日からよく見えるようにもなりました。 従来の方法ではメスを使って行うのですが、光を使って切開するレーザーのほうが、目に負担がかかりません。また、メスのように医師の手作業で行う場合とは異なり、最適かつ正確な位置に切開できるため、より安全で精度の高い手術が可能になります。

 

◆ステップ2:前嚢(ぜんのう)切開

 

次のステップは「前嚢(ぜんのう)切開」です。目の水晶体は「嚢(のう)」という薄い袋状のもので包まれていて、この工程は、その袋に丸い穴を開ける作業です。

 

従来の方法の場合、角膜切開と同様に医師の手で器具を用いて行います。しかし、手作業となるぶん、正確さに限度があります。最適なサイズの穴を開けようとしても、小さくなったり大きくなったり、丸く開けたいのに楕円形になったり、たまにハート形になったりすることもあるんです。

 

一方、レーザーで行う場合は、位置、大きさともに最適な穴を作成できるうえ、短時間で終えることができます。医師の手で行う場合と機械とでは、正確さに大きな違いが現れるんですね。

 

しかも、前嚢(ぜんのう)切開がきちんとできているか否かによって、次のステップに移ったときの難易度が変わります。そのため、私自身がメスをつかって手術するときも、ひやひやドキドキしますし、もはや息を止めながら行っているくらいです。正直なところ、レーザーを使うほうが安心して進められます。

 

◆ステップ3:嚢の中の濁りを摘出

 

最後のステップは、水晶体の袋の中に入っている濁りを分割し、細かく砕いて、袋の中を空っぽにする工程です。

 

これまでと同様、従来の手術方法では医師の手で器具を使い、水晶体を掘って割って、掘って割って…という作業を繰り返して砕いていき、細かくなったら取り除きます。

 

地道な作業ではありますが、繰り返しているとどうしても目に負担がかかります。稀ではありますが、この作業で合併症に繋がることもあるんです。

 

一方、レーザーなら一瞬で水晶体を2000分の1に分割することができます。イメージとしては玉ねぎのみじん切りでしょうか。こちらの手法では、一瞬で細かく砕いたあとはただ取り除くだけなので、目に負担がかかりません。合併症も防ぐことができるので、2つの方法を比較すると、やはりレーザーのほうが安全といえます。

 

ただし、レーザーを使った場合は安全性や精度が高い分、どうしても時間がかかります。水晶体を分割するスピードはレーザーのほうが早いものの、実は全体の手術時間を比較すると、メスのほうが短いんですね。レーザーの場合は15分ほどかかりますが、メスは5~10分ほどで終わります。

 

以上が、2つの方法の違いです。それぞれ特徴はありますが、いずれにせよ完成された安心安全な方法です。白内障手術を受ける際は、上記を踏まえつつ先生と相談し、ご希望に合うものを選んでいただければと思います。

 

【動画/白内障手術にはどんな方法がある? 手術実績年間1,500件の眼科医が解説】

 

佐藤 香

アイケアクリニック 院長

アイケアクリニック銀座院 院長

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載「目の病気予防」から「目の美容」まで!スゴ腕ドクターが徹底解説

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