老人ホームは姥捨て山…仕事一筋の元企業戦士ほど哀れな結末

いい老人ホームだと近所で評判だったのに、入居したら酷い目に遭った――。老人ホーム選びでは口コミがまるで頼りにならないのはなぜか。それは、そのホームに合うか合わないかは人によって全く違うから。複数の施設で介護の仕事をし、現在は日本最大級の老人ホーム紹介センター「みんかい」を運営する著者は、老人ホームのすべてを知る第一人者。その著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

物わかりの良い入居者が好かれるのは当たり前

もともと、介護職員になるような人は、気持ちの優しい人が多いのです。言い換えれば、気が弱いとか打たれ弱い、傷つきやすいと言ってもいいかもしれません。したがって、いくら相手が認知症で訳のわからないことを言っていたとしても、具体的に悪態をつかれたりすると、心が傷つくのです。

 

小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)
小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)
 

何も文句を言わず、すべてを受け入れ、我慢をしているような入居者に対しては、申し訳ないという思いが生まれ、特別に何かしてあげたい、しなければならないという気持ちになります。費用を負担しているのだから元を取らなければ、しっかりと仕事をさせなければ、と考えるのも人の気持ちとしては理解できますが、大人の対応をしてみると、意外なほどサービスが良くなるということがあるのです。

 

老人ホームの場合、何をするにしても、どうしても順番を守るということが生じます。なぜなら、多くの入居者に同じサービスを提供するためには、順番が発生するからです。入居者の中にはどうしても一番でないと気がすまない方もいます。一番風呂でなければ嫌だ。一番先に食事をしたい。一番先に部屋の掃除をしてほしい。

 

さらに、老人ホームの入居者には「自分だけのマイルール」というものがあります。食堂の座る「場所」であったり、お茶を飲むカップであったり、コーヒーはミルク多めで砂糖は無し、というような。誰にでもこのようなルールはあるのですが、老人ホームの場合は、このルールを誤ると大騒ぎになります。よく介護職員が遣う言葉に「不穏」がありますが、このルールを無視すると、まさに入居者が「不穏」になり、その日一日機嫌が悪いということは日常茶飯事なのです。

 

そのような中、物わかりが良い入居者は当然、介護職員からすると扱いが「楽」ということになります。どうしても一番でなければならない入居者がいるので順番を譲ってもらいたい。そんな時、文句を言わず、笑顔で「どうぞ」と言ってくれる入居者は介護職員にとって地獄に仏、ということになります。もちろん、介護職員からすると、借りができたわけですから、その借りを返したいと思います。何かで恩返しができないかと考え、要求が無くても特別にささやかな便宜を払うことを介護職員は実践します。

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載実は知らない老人ホームの真実

誰も書かなかった老人ホーム

誰も書かなかった老人ホーム

小嶋 勝利

祥伝社新書

老人ホームに入ったほうがいいのか? 入るとすればどのホームがいいのか? そもそも老人ホームは種類が多すぎてどういう区別なのかわからない。お金をかければかけただけのことはあるのか? 老人ホームに合う人と合わない人が…

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