世界的に超低金利時代へ突入している。そんな状況下、新型コロナウイルスの感染拡大で、事態はまさに「打つ手なし」。しかし、ここにきて注目されているのがMMT(現代貨幣理論)である。有識者から袋叩きにあい、さらにネット上でも支持派と否定派が議論を繰り広げている。MMTは救世主なのか、トンデモ理論なのか。本連載は、経済アナリストの森永康平氏の著書『MMTが日本を救う』(宝島社新書)を基に、MMTとはどんな理論なのかをわかりやすく解説していく。過去の著書には父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)がある。

対策は内容量をこっそり減らす「ステルス値上げ」

 

森永康平著『MMTが日本を救う』(宝島社新書)
森永康平著『MMTが日本を救う』(宝島社新書)

本題に戻ろう。たとえば、ある企業が1パック10個入りの飴を100円で売っていたとする。原材料費など生産コストが上昇してきたため、翌年は120円に値上げしたとする。毎年順調に経済が成長し、物価も家計所得も上昇していれば、企業側の合理的な値上げに対して家計は買い控えを起こさない。

 

だが、日本のように経済成長が緩やかで、物価も家計の所得も上昇しない国だと、多少の値上げすら死活問題であり、消費者は鮮明に拒否反応を起こして物が売れなくなる。そこで、日本では多くの企業が値段は据え置いて、内容量を減らすという事実上の値上げをするようになったこれが「シュリンクフレーション」だ。

 

先程の例で言えば、100円から120円に値上げしたいが、値上げをすると買ってもらえな くなる。そこで売価は100円のままにしつつも、個数を減らして1パック8個入りにするという具合だ。「シュリンクフレーション」に「ステルス値上げ」という異名がついているのは、事実上の値上げをバレないように細工しているからである。

 

内容量が減ってもパッケージや容器の大きさは変わっていないわけだから、かなり注意していないと気づかない。読者のなかでも、お気に入りのお菓子やアイスを買って家に帰り、いざ開けてみると中身がスカスカと感じた経験がある方は多いだろう。

 

※使用されているデータは執筆された2020年3、4月時点のデータです。

 

森永 康平

金融教育ベンチャーの株式会社マネネCEO

経済アナリスト

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