中小企業の経営「計画どおり」という地味さが発揮する「怪力」

これからの企業に必要なのは、「未来予測会計」です。なぜなら、利益というのは計画的に出すものであり、未来の数字が決定的に重要だからです。管理会計の進化系となる未来予測会計には、中小企業経営をスムーズにする、多数のメリットが秘められています。その具体的な内容と実際の導入のステップを見ていきましょう。※本記事は『5G ACCOUNTING 最速で利益10倍を目指す経営バイブル』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。

 

 第3ステップ  資金繰りのチェック

 

続いて、資金繰りのチェックを行います。企業にとって資金(キャッシュ)は、生き物の血液と同じです。資金(血液)が詰まったり、流出が止まらず足りなくなれば、死んでしまいます。

 

企業が自由に使える資金は一般に、「利益+減価償却費」で計算されます。利益は厳密には営業利益ではなく、税引き後利益で計算すべきですが、経営計画の段階では営業利益ベースでも構いません。

 

また、減価償却費は税務会計、財務会計における費用の一つですが、実際には資金の支払いを伴わず(設備投資などの際にまとめて支出しているため)、その分だけ手元資金となります。

 

この「利益+減価償却費」を算出したら、借入金一覧と突き合わせてみます。借入金一覧は、金融機関ごと、約定(ローン契約)ごとに借入金をまとめたものです。ちなみに、金融機関ごとの借入金のシェアの推移からは、金融機関の姿勢を見ることができます。

 

借入金一覧には、金融機関ごと、約定(ローン契約)ごとに借入額、返済期間、利率、毎月の利息額および毎月の元金返済額が記入されています。ここから、金融機関への年間要返済額を算出し、「利益+減価償却費」と比較します。年間要返済額が「利益+減価償却費」より少ないようであれば問題ありません。

 

しかし、そうでなければ対策が必要です。対策としては、中小企業では多くの場合、金融機関に「折り返し融資」の依頼をすることになります。「折り返し融資」とは、返済が進んだ分を運転資金として再び借りるものです。その時こそ、経営計画が威力を発揮します。経営計画こそ、金融機関が融資を決断する担保のような機能を果たすのです。

 

 第4ステップ  経営計画の確定

 

以上のようなステップを経て、利益と資金繰りの見とおしが立てば、それが最終的な経営計画となります。経営計画が定まれば、後は日々の業務遂行と管理を繰り返していくことになります。

中小企業経営者は、経営の「スピード」を上げよ!

経営とは、計画どおりに利益を実現するという〝当たり前〞のことだと述べました。さらにいえばこれからの時代、中小企業の経営者の皆さんは、経営の「スピード」をもっと意識する必要があると思います。

 

具体的には、短い間隔で業績を締め、経営状況を確認し、必要な手を打つのです。業績を締める回数は、経営判断を行う回数です。もし、1年に1度しか業績を締めてチェックしなければ、経営判断は基本的には年1回です。

 

それに対して、月次で業績を締めてチェックすれば、年に12回、経営判断を行うことができます。さらに、週次で業績を締めてチェックすれば、年に約50回の経営判断を行うことになります。年に1回しか経営判断をしない企業と、年間50 回の経営判断を繰り返す企業。どちらが業績を着実に伸ばし、あるいは今回の新型コロナショックのような事業環境の激変に柔軟に対応できるかは明らかでしょう。

 

「何かあったらその時に判断すればいい」という考えもあるかもしれませんが、スポーツのトレーニングと同じで、普段から繰り返し経営判断をしている経営者と、普段はのんびり構えていていざという時に経営判断をする経営者では、判断のレベルに差が付くのは自明でしょう。

 

なお、これも繰り返しになりますが、未来予測会計は「管理会計」の進化系であり、上場企業に義務付けられている四半期決算や税務上必要な年次決算とは違います。自社の事業内容や経営者の判断に応じて、必要な間隔で、必要な範囲、必要な数値だけを締めればよいのです。

 

ただし、月次や週次、さらには日次といった高頻度で締め(決算)を行うとなると、システムで処理せざるをえません。経営判断のスピードと回転を重視することが、中小企業の経営におけるIT化の真の目的に他なりません。その意味で、会計ソフトをはじめとする経理システムは、非常に重要です。

株式会社YKプランニング 代表取締役

1976年3月6日生。山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校で簿記・税理士講座の講師を務めたのち、現在代表を務める㈱YKプランニングの母体となる㈱行本会計事務所に入所。

会計事務所勤務時代には福岡・広島・山口を中心に200件を超える中小企業の経営計画策定と経営再建、資金繰り支援業務に携わる。

会計仕訳データを活用した特許を複数取得し、現在提供している中小企業経営者向けクラウド型AI会計システムの利便性向上へと繋げている。また、会計事務所専用AI会計システム「財務維新」の総責任者でもあり、700件を超える会計事務所とともに“未来予測会計”を推進中。

著者紹介

税理士法人SHIP 代表社員税理士
株式会社SHIP 代表取締役 

1970年8月31日生。立命館大学経営学部卒業・名古屋商科大学大学院修了(経営学修士)・京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラム修了。愛知県を中心に静岡県・関東方面まで対応エリアとしている税理士。

1976年から続く鈴木今朝由税理士事務所の二代目として本業の税務会計業務を遂行する一方、経営計画を主軸とした組織構築や事業承継、後継者育成など、常に中小企業経営者の悩みに寄り添った支援を行っている。

クラウド型AI会計システム(bixid)とweb会議システムを組み合わせた経営の見える化の先駆者であり、中小企業経営者と会計事務所の新しい働き方を提唱しているMBA税理士。

著者紹介

連載5G ACCOUNTING…最速で利益10倍を目指す「未来予測会計」とは

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