本記事は、山田知広税理士の著書『オーナー社長のスゴい引退術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

C社はどうして高値でもスムーズに売れたのか?

C社がどうして高値でもスムーズに売れていったかというと、最大の理由は「唯一無二のリソース」があったからです。化学薬品を使って開発する技術力や、危険物を管理するノウハウ、薬品開発に特化したラボや作業場、実験用器具や機械など、「ここにしかないもの」がたくさんありました。

 

また、優秀な作業員兼研究員もいました。実はC社社長が倒れる前から社長とこの研究員に対して、新しく作りたいインクの相談がD社から持ちかけられていました。この研究員は社長が入院している1ヵ月で、一定の成果をあげるまでに研究を進める実力がありました。

 

D社がこれらのリソースを一から揃えるのは時間もお金もかかり、リスクも伴います。M&AできたD社にとって、とても理想的な買い物だったと思います。

 

このようなケースは稀かもしれませんが、売り手と買い手の希望がドンピシャでマッチングすると、かなりの高値で売れていきます。他社があまり作らないようなマイナーな部品を製造している町工場などは希少価値があるので、M&Aに出せば有利に話が進むことが多いです。また、最近の人材難で、優秀な職人や社員がいる会社も、大きな魅力のある会社として好まれます。

 

規模が小さくても、1つでも強みのある会社は、M&Aで有利です。強みを引き立たせ、財務面も人材面も「良い会社」づくりをしていきましょう。まだ経営者が若く後継者のことはもう少し先の場合でも「良い会社」であれば将来の後継者にとっても引き継ぎたい会社であり、第三者に高値で売却できる会社でもあるのです。

 

オーナー社長のスゴい引退術

オーナー社長のスゴい引退術

山田 知広

幻冬舎

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